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俺の、最後の獄中絵日記 第247回

なんだか切なくて悲しくて自分にガッカリした出来事

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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悪いクセ

2013年(平成25年)9月12日

パソコン使って図形を作成しているとサ、
夢中になっちゃって俺の悪いクセが出る。
今日も午後になって、もうじき出来上がりそうないいところに差し掛かったところで
「還房準備〜」の号令がかかった。
この号令で俺たちはロッカーに洗濯済みのシャツやパンツ、靴下を取りに行き、
サンダルに履き替えて、自分の席に戻って
着替えを始めなくちゃならない。

俺は渋々パソコンの画面を切り、着替えをとって戻り、
パソコンの前で着替えを始めるが、
頭の中はさっきまでの作図の続きでいっぱい。
だから着替えの最中も他のことはすっかりうわの空だ。
着替え終わったら今まで着てたパンツ、シャツ、靴下を洗濯してもらうために
教育外のテーブルの上に出しに行かなくてはならないのだが、
ここへ来てパンツがない。
シャツや靴下はあるのに、今着替えてテーブルの上に置いたはずのパンツだけがないのだ。
机の下を見ても落ちてない。
あれ、おかしいぞ。
早く洗濯物出してきて、残りの時間また作図をしなければいけないのに...。

もしかして隣の席の人が間違って俺のパンツも一緒に持って行ってしまったのか。
いやそんな感じはない。
それじゃ誰か悪意のもとに俺のスキを見てどこかへぶん投げたとか......。

ああ、そうかもしれない。
きっとそうだと怒りが湧き上がった瞬間、
気がつくと、履き替えたパンツの上に脱いだパンツをまた履いてた。
ボーッとしてる証拠だろ。
自分で自分にがっかりきたよ。
誰にも気づかれないよう、そっとパンツを脱いだ。


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