>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑮ ~ビジネスか錬金術か~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑮ ~ビジネスか錬金術か~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


謎に包まれたビジネス手腕


 六代目山口組の中心組織である弘道会が中部国際空港の建設工事にからみ、莫大な利益を得たのは有名な話である。

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wikipedia「中部国際空港」より(リンク

 その際、関連企業と連携して三重県内から工事用の砂利を運び入れた。三重県内の各企業や各銀行とも建設工事を通じて弘道会は関係を深めた。

 これは、ヤクザのシノギがどうのこうのという話ではなく、弘道会の歴史として解説しておきたい。

 弘道会は、土地柄から愛知県内に本社を構える大手中古車オークション会社とも関係が深い。これも弘道会の歴史である。三代目弘道会となってからもその関係は続いており、両者は持ちつ持たれつといった間柄だと言える。
 
 三代目弘道会が山口組六代目の鶴の一声で急速に山口組内の要職ポストに就いた頃、山口組幹部たちの間で、三重県内のとある信用金庫と愛知県内に本社を構える大手中古車オークション会社を舞台にした巨額融資の話が持ち上がった。

 大手中古車オークション会社に信用金庫側が融資をするわけだが、融資前には、大手中古車オークション会社の資金をいったん信用金庫に入金するとかしないとか、通常の融資手続きとは一風違ったスタイルだった。つまり、企業が通常の企業活動をするうえで必要とする融資内容ではなく、融資を隠れ蓑にした暴力団の資金捻出の意味合いが強い融資模様であった。融資金額は約100億円。このうちの何パーセントかが暴力団の資金として流れるわけだが、この融資話の仕掛けがはじまってから、山口組幹部たちの間で「そんなことができるのか?」という声があがりはじめた。

 山口組の中には、武闘派だけではなく経済方面の経験と知識に明るい経済ヤクザも在籍している。大手中古車オークション会社と信用金庫といった社会的に信用ある企業による融資内容とはいえ、その巨額過ぎる融資額や無理のある手続き方法ではまとまる話もまとまらないのではないだろうか。ともすれば、それは、ありもしない架空財宝を売り買いして利益を得ようとするM資金詐欺レベルぐらいのお粗末さではないかと感じた幹部たちも多くいた。