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俺の、最後の獄中絵日記 第242回

俺だってメシぐらいゆっくり喰いたいんだよ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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スピード

2013年(平成25年)9月7日

人がメシを喰う時のスピードっていうのは恐ろしく違う。
シャバで2人でメシを喰うとサ、どうしても俺の方が早く食べ終わるものだから、いつも怒っていたろ。
「どうしてゆっくり喰べられないの!」
「なぜ黙ったまま食べるの?お話もしないで!」って。
黙って喰うのは食事中に話のできない懲役グセだ。
スピードに関しては自分ではゆっくり食べてるつもりなんだ。
俺がまるでものすごい早さでメシを喰うように言うけどサ、
北海道では工場で一番遅いよ。
しかも体重を減らそうと、麦飯は半分残しているのにだ。
あわてて喰ってるから味なんてわからない。
なのに途中から同じテーブルの奴らは片付けが早まる。
信じられるか! 俺は一番遅いんだ。

しかしここ九州に移送される時、飛行機の中で連行のオヤジと弁当喰った時
ゆっくりメシが喰えると思いながら極力のんびり喰ったのに
「お前喰うの早えな」だって。

ここ九州の刑務所に送られてからは工場でどれほどゆっくり喰ってるつもりでも
俺が箸を置いた後も、まだ他の人は口を動かしてる状態だ。
初犯刑務所だから、皆まだシャバに近いんだネ。
いったい北海道を含む再犯のメシ喰うスピードはなんなんだ。
今ゆっくりメシが喰えるありがたさを実感して、
やっとシャバで俺のことを怒ってた気持ちが理解できたよ。
今度はゆっくり会話をしながら食事を楽しもう。
それが一般の社会人だものネ。


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