X氏の案内で西成を歩く
「ここが三島組の新事務所として使われるんちゃうか~って言われている場所ですわ」
物陰に隠れ、ひそひそ声でX氏が指差す先には、"S"と書かれたビルがあった。場所は、西成に出入りしている人間なら誰でも知っている三角公園のすぐ近く(余談だが、この三角公園で西成名物の"炊き出し"などが行われる)。X氏によれば、内部は完全に組事務所仕様となっているらしく、現在は、三島組とは別の山健組系有力団体が使用しているという。だから、X氏は必要以上に物陰へとかくれたわけか。合点がいった。
さらに、そこから徒歩2分足らずの場所に、かつて三島組の本部事務所が入っていたビルがあった。
「ここが、三島の親分の本宅になるゆう噂もあるねんけど、どうかな~。この様子やったらなさそうですね~」
かつて三島組本部がおかれていたビル
X氏の言葉通り、このビルからは改装工事をしている様子どころか、人の気配すら感じることはなかった。またビルのまわりも閑散としており、我々のほかには、中年男性がひとり、やはりこのビルを眺めているだけだった。
「あ、あれ、マル暴ですわ」ビルを眺めている中年男性の顔を見たX氏はそうつぶやくと、男のもとへ近づいていった。(さすがは泣く子も黙る大阪府警のマル暴、すでに三島組の監視をはじめていたのか......)などと感心しつつ、何やらヒソヒソ話し込む2人の声に耳を澄ませる。もしかして、三島組の極秘情報を交換しているのかも──。
「お前、こんな所で何しとんねん。また、シャブ引きにきたんとちゃうやろな(刑事)」
「ちゃいますよっ! と、と、友達探してるだけですよぉ(X氏)」
............X氏の話を信じて、本当に大丈夫なのだろうか。