要はまっすぐ弾が飛んでいけばいいのだ
今も昔も、ヤクザ社会のケンカにおいて重要な役割を果たすのがチャカである。
そして現在、極道社会は大きく揺れ動いている。それは、周知の事実であろう。
昔から、キナ臭い雰囲気になり始めると、チャカの相場が上昇し始め、いざ抗争にでも突入しようものなら、その値も一気に急上昇してしまう事もよく知られている。

朝日新聞DIGITAL「山口組分裂、抗争の足音 拳銃・ヒットマン...調達始まる」
今回も朝日新聞の報道によれば(10月11日付け記事「山口組分裂、抗争の足音 拳銃・ヒットマン...調達始まる」リンク)「平時には実弾付きで1丁30万円の拳銃が、100万円でも売れるという(同記事より)」とのことである。
この記事に異議を唱えるつもりはない。だがいくぶん「盛っている」というか、現実とは少し違う気がしないでもない。
資金にゆとりある組織や、唸るほど銭をもってるヤクザならいざ知らず、平時でも決して安くないチャカを、しかもこれだけ法でがんじがらめされてしまった環境下で、一般組員がそうやすやすと揃える事ができると思っているのだろうか。何から何まで暴排条例が立ちふさがり、これまでまかり通っていたシノギがまったく立ちゆかなくなっているのだぞ。しかも末端の組員になればなるほど、その影響をもろにかぶってしまっているのだ。妻子を食わせていくだけでやっと、という組員も珍しくはない昨今、高級腕時計並みの値段が軽くついているチャカを気軽に揃えられる暴力団員など一般社会やマスコミが思っているよりははるかに少ないのが現状だ。
では、道具はいらないのか、というと、そうではない。ヤクザの抗争に道具は必要不可欠である。要は、本物でなくともよいと言いたいのだ(その点も高級時計と一緒だ)。
人間の身体にめり込んでくれて、殺傷能力があれば、エアガンでも別に構わないのである。
そのための職人だって某所にはしっかり存在している。
そういう、ウラの匠(たくみ)の手によってエアガンが改造されていき、威力がタマが取れるくらいのレベルまで到達さえしてしまえば、わざわざ100万も150万もするような本物を買わなくてすむのだ──というのが私の個人的な見解、というかちょっとした拳銃豆知識である。マメ(玉)だけにね(笑)。
(文=沖田臥龍)