山口組系組員が、愛知県内の飲食店など約70の業者からみかじめ料を集めていたことが愛知県警の捜査でわかりました。このうち約45業者は支払いを強制されたものとみられ、県警は業者からみかじめ料を徴収しないよう組員に中止命令(用心棒代要求行為など)を出す方針です。また残りの約25業者の中には、自主的にみかじめ料を払っていたケースもあるとみて、業者と組側の双方に勧告する方向で検討しています。警察が一度に、これほど多くの業者に関して命令を出すのは全国的にも珍しいケースです。
飲食3万、風俗5万、パチンコ30万

写真はイメージです
飲食店約70店からのみかじめ料、いわゆる"守(も)り代"である。
地域によって相場は異なるが、だいたい飲食店の守り代の相場は3万円から5万円くらいか。3万円だったとしても、70の業者から集めれば月にして210万円だ。これほど暴力団排除条例が広く知れ渡っている現状で、これだけの金額を集められるというのは、組織の持つ力であろう。
私の知っている繁華街の守り代の相場であるが、飲食店で3万、ファションヘルス系で5万から10万、闇スロ、闇カジ等のアンダーグラウンドになると10万から15万。パチンコ店等は一律30万円が相場であった。であった、というのは、これも暴力団排除条例の影響で、ほとんどの店側がその支払いを拒否するようになったからである。
最初にみかじめ料を支払うようになったきっかけは、さまざまだろう。店側からヤクザになんらかの相談事を持ち込み、解決してもらった事への感謝の意から、みかじめ料を払い出した所も少なくないだろう。この70店舗の中にも、そういう飲食店はあったのではないか。代紋の力で問題を解決してもらった事もあったのではないか。
そもそも、困った時に助けてもらったからこそ、みかじめ料が発生したのではないのか。「ここは、ワシらのシマやから、子守させてくれないかんで~」から、始まる面倒見は意外に少ないものだ。
そりゃあそうだろう。アンダーグラウンドのシノギならいざ知らず、ちゃんとした許可をとり商売を営んでいる所に、いきなり「守り代払わんかいっ!」と言いにいって、払ってもらえるようなものだと警察は思っているのだろうか。
守り代の定義の解釈に、そもそも少し誤解があるのではないか、と私は思う。
店が同業者や客から嫌がらせを受けないために、とか、トラブルが起きてしまった時の後ろ盾に、とか、ヤクザ者に入店されないためのお断り料であるとか、そういった理由のために守り代が支払われていると思われているのではないだろうか。
確かにそんな時代もあった。だが実際は、店側の「気持ち」という面が大きなウェイトを占めているのだ。
「この人を応援してやろう」とか、「この人には世話になっているから、出来る範囲で力になってやりたい」といえば伝わりやすいか。
実際、守り代をもらっているばかりに、「店に顔を出して、使ってやらなくてはならない」と言って、守り代以上の金を落としてるヤクザだって私は知っている。
「気持ち」がなければ、暴力沙汰のトラブルなんて起こり得ない散髪屋さんや弁当屋さんが付き合いなんてしてくれるか。
私のまわりには大手チェーンのドーナツ屋(ミスターなんちゃらである)に付き合いしてもらっている者も過去にいたぞ。