>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑫ ~事務所前のニラみ合い~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑫ ~事務所前のニラみ合い~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


現在の状況は「抗争前夜」なのか


 六代目就任時の11年前から、名古屋一派による神戸一派への弾圧という「静かなる抗争」が始まっていた。つまり、六代目山口組内ではずっと内部抗争が続いていた。拳銃を使用した抗争に転化するタイミングはいくらでもあったが、名古屋一派も神戸一派もそれはせずに、静かなる抗争は「別れ」という離脱分裂劇に進展した。

 世間やマスコミ等では拳銃抗争を予感させる、思わせぶりな話題で持ちきりだが、実際は、抗争という言葉を使って説明をすれば、抗争はもう既に11年前からはじまっており、弾圧や兵糧攻め、組織切り崩し、密告、弱みの握り合いといった政党闘争のような静かな抗争劇から現在、離脱分裂という局面を迎えている、といったところである。同一組織内でそんな事ばかりやっていたら、そりゃあ別れるよな、と言ったほうが理解しやすいだろうか。よって、世間で騒がれているような拳銃による抗争に進展する可能性は非常に低い。やるならもうとっくにやっているのがヤクザである。

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写真はイメージです

 神戸山口組組員と六代目山口組関係組員による一触即発の状況が各地で勃発しているとの報道記事等もあるが、それは、このたびの離脱分裂が原因というよりは、当事者同士の以前からの因縁によるところが大きい。分裂に伴って六代目山口組から神戸一派に対して発せられた破門・絶縁処分が出た日が8月27日なので、かりにこの日を8・27として時間的区切りを示すとすると、六代目山口組(当時)の傘下団体の中には8・27以前から性格的にもともと合わなかった人、仲が悪かった人、ずっとライバルだった人は当然いる。そういった8・27以前から因縁関係にあった人同士が、このたびの離脱分裂で、もう事務所当番で顔を合わせる事もなければ地域睦会の連絡を取り合う必要もなくなったので、今までのストレスを発散する様な形で、それぞれの事務所前でニラみ合ったりしている程度である(編集部注 大阪某所の神戸山口組系事務所の周辺を六代目山口組系のK会Y組、I会、A会が合同で巡回を入れているが、これももともとは分裂前のいざこざが尾をひいているという噂がある)。元々血の気の多い人たちでもあるから、8・27以降、そのような因縁関係によるニラみ合いが各地で起きていると見てよい。

 ただし、これは個人的因縁によるもので決して、組織的な動きではない。8・27以前から、元々仲が悪かったが、同じ山口組というよしみで収まっていたものが8・27以降、本来のお互いの感情や態度が表面化しただけである。神戸山口組と六代目山口組が陣頭指揮を執って組織的行動が始まっているわけではない。