昨日10月1日、警視庁公安部は中核派活動家の関係先として東北大と広島大の関連組織を家宅捜査しました。この5月に中核派の活動拠点「前進社」(東京都江戸川区)で男性活動家を監禁、重傷を負わせたとして逮捕された活動家4人の中に東北大の元学生が含まれていたことや、広島大が立ち回り先になっていたことから家宅捜査が行われたものと思われます。なお逮捕された4人はいずれも完全黙秘しています。
とてもじゃないが21世紀の話とは思えない
読者の皆さんは『中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)』を御存じだろうか? 政治に興味がなければ知らないと思うので、簡単に記しておこう。中核派とは左翼団体の一つで、1957年に結成され、共産主義社会の実現を目指している集団である。
中核派は学生運動の華の時代に目立っていたのだが、さまざまな非合法活動や内ゲバの結果、大衆の支持を失っていき時代の流れとともに組織は衰退していったように思う。
その中核派が、先日ニュースを賑わせた。
(以下引用)

YOMIURI ONLINEより
男性監禁、屋上から転落させる...中核派2人逮捕
YOMIURI ONLINE 2015年09月29日 07時27分(リンク)
過激派・中核派の拠点「前進社」(東京都江戸川区)で今年5月、活動家の男性が5日間監禁された後、屋上付近から転落し、一時意識不明の重体になる事件があったことがわかった。(中略)公安部によると、中核派は最近、組織性を前面に出さずに市民団体のデモに加わる「ソフト路線」を進めており、逮捕された2人も、安全保障関連法案に反対する国会前のデモに参加していた。
中核派監禁事件、容疑の活動家2人を新たに逮捕
YOMIURI ONLINE 2015年09月30日 15時33分(リンク)
過激派・中核派の拠点「前進社」(東京都江戸川区)で監禁された男性が転落して重傷を負った事件で、警視庁公安部は30日、新たに活動家の男2人を監禁致傷容疑で逮捕した。(中略)男性は内部情報を漏らした「スパイ」と疑われ、監禁されたという。
このニュースは、1960年代、70年代のものではない。つい最近のニュースである。未だにこんなことをしているのかと衝撃を受ける人は少なくないはずだ。
世間から右翼と見られる僕であるが、実は中核派の知人もいたりした。そんな彼らを見て、接してきた中で感じたことを書こう。
国会前の安保法制反対抗議での中核派
安保法制に反対する抗議で、話題となっている『SEALDs(シールズ)』。そのSEALDsなどが呼びかけている国会前の抗議を邪魔しているのが中核派、『法政大学文化連盟』である。
僕はSEALDsではないし、中核派でもないけれど、見ている限りでは中核派はどうしようもなく酷い。自らの運動のチラシを配り、安保法制反対と関係ないアピールをしたりして参加者から迷惑がられている。
安保法制反対という活動の目的を忘れ、SEALDsの人気と活動に便乗して、自らの運動体の宣伝をしているとしか思えない。
法政大学文化連盟とは
法政大学文化連盟とは、法政大学で創立されたサークルである。法政大学とは中核派の拠点として有名で、法政大学文化連盟は中核派と共に活動をしている。実質、法政学文化連盟は中核派のフロント団体のようなものだと思う。現在は法政大学非公認のサークルであり、法政大学と一切関係のない団体である。
そして、今回の件も法政大学文化連盟はこのようなツイートをしている。
「被害者」とされるスパイは「致傷」の唯一の中身が「足を踏み外し転落」とある様に、警察監視下の前進社で非暴力の事情聴取を受け、屋上にも出られた。その上で、自身の罪の発覚を恐れ、密かに逃げ出そうとして屋上から転落した。これが真相だろう。
http://t.co/7e2e97nlqF
— 10・21国際反戦デーへ!文化連盟 (@jinmin1991) 2015, 9月 29
「被害者」とされるスパイって......。
僕と法政大学文化連盟の関係

筆者と法政大学文化連盟副委員長(2010年当時)
僕は右翼だったが、法政大学文化連盟とは仲が良かった。知人も結構いたし、一緒にイベントをしたり、酒を飲んだり、雑誌の表紙を共に飾ったこともあった。ならなかったが、賛同人も頼まれたことがあった。中核派色も薄い気がした。
けれども、僕と仲良い連中が世代交代をしてから雰囲気が変わっていったように思う。何か自由じゃなくて、中核派色を色濃く出しているように感じた。内部のいざこざも聞いたりした。そういう中で、僕は全く関らなくなっていった。それまでの法政大学文化連盟から路線変更があったのかもしれない。
中核派がソフト路線に?
その路線変更の対立を匂わせるのが、先の報道だ(編集部注 上記の『男性監禁、屋上から転落させる...中核派2人逮捕』という記事のこと)。中核派はソフト路線を模索していく中で、このような逮捕劇があったのだ。全然ソフトじゃない。
仲間に対してこんな厳しいことをしなくてもと僕は思ってしまう。例えスパイがいたところで、今の力のない中核派なんてそんな重要な情報なんかないだろう。総括をして、仲間を厳しく責めなくても良いじゃないか。やめさせればいいだけだ。
※総括とは──
総括(そうかつ)とは、本来は全体を取り纏める事だが、特に戦後史においては日本の新左翼党派である連合赤軍の山岳ベース事件での同志に対するリンチ殺害を「総括」と呼ぶ。ただし、連合赤軍自身はこれを「共産主義化」と呼んでいた。(wikipedia『総括 (連合赤軍)』より引用 リンク)
権力との距離感
中核派は警察を厳しく批判する。反権力を前面に押し出すのだ。
一般人は警察と仲良く話すのなんて当たり前だが、中核派でそんなことをしていたら権力の手先、スパイ認定されてしまうと聞いたことがある。
そこに僕は疑問を抱く。例えば安保法制反対の国会前抗議で、中核派は警察と喧嘩しているばかりで国会に全然抗議のコールをしていなかったりする。反警察闘争をしたいのだろうか。
要するにこういうことだ。中核派は仲間を総括している場合ではない。中核派という組織を総括しろ!
(文=山口祐二郎)
山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。歌舞伎町ホストなどを経て、新右翼「統一戦線義勇軍」幹部に。2007年に防衛省襲撃事件、2012年に東電会長宅前断食断水ハンストを起こし脱退。現在は、「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。 著書に『ハイリスク・ノーリターン』(第三書館)、『奴らを通すな!』(ころから)がある。
山口祐二郎公式ツイッター https://twitter.com/yamaguchiyujiro
※サムネイル画像は中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)の出版社、公然事務所といわれる前進社のビル。©google 2015