>  > 門真市で生活保護を不正受給していた30代夫婦の映像を観て思い出したこと
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

門真市で生活保護を不正受給していた30代夫婦の映像を観て思い出したこと

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その男は、たちの悪いヤクザかぶれ


 爆弾は、私よりもはるかに歳が上で、ヤクザに対する憧れを強烈に持った、かぶれ者であった。

 人手不足でなければ、そんな爆弾に関わり合いになることもなかったのだが、いかんせん業界も不景気ゆえの人材難、めぐりめぐって目の前に現れた爆弾を、私は抱えこんでしまうことになったのだった。

「ええか、バクダン(仮名)。お前はヤクザとちがうねんぞ。あくまで、オレ個人の用事を手伝ってるだけやからな!」

 バクダンにヤクザ事とは程遠い雑用を任せるたびに、私はこう言い聞かせていたのだが、このバクダン、「わかってま!」と良いのは返事だけで、まったく分かってくれない。

 時代遅れの着流し姿で飲み屋街に出ては「〇〇組のバクダンじゃ!」とやってしまう。

 それを知るたびに、私はこっぴどくバクダンを叱りつけていたのだが、いっこうに素行がなおらない。いくら業界が人材不足とはいえ、これ以上付き合いを続けて本当に爆発されても困るので、私はバクダンを抱えるのをやめることにしたのだった。

 そんなバクダンの記憶も時間とともに風化していき、かるく1年の月日が過ぎた頃のこと──。

 基本、中国人とヤクザの朝は早い。

 私は、いつものように組事務所でデスクに腰掛け、届いた朝刊に目を走らせ、ヤクザ記事を追っていた。すると、こんな記事が目に留まった。

《暴力団組員、不正受給の疑いで逮捕》

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写真はイメージです

 住所はこの近くとある。だが、容疑者の名前はまったく聞いた事がない。はて? どこの組員であろうか、なんてことを考えながらホットコーヒーを飲んでいると、私の導火線に火がついた......失礼、私の携帯が鳴りだした。

「おはようごさいます~。新聞見はりました? あれって、沖田さんのトコでっか?」他団体である□□組の幹部からである。

「おはようごさいます。不正受給のヤツでしょ。ウチ違いますよ。名前も聞いた事ないですわ~」

 この時までは呑気であった。導火線に火が点いたとも知らず、ホットコーヒーをふうふう言いながら飲んでたくらい呑気であった。

 そうこうしているうちに今度は事務所の電話がけたたましく鳴り響いた。当番者が受話器を上げる。

「〇〇組! あっ! おはようごさいますっ! △△のおじさんっ! はいっ! はいっ! 責任者に変わらせていただきますので、一旦保留を押させてもらいますっ!」

 当番者は受話器を置くと、私に向かい、「叔父貴! △△のおじさんですっ! 一番ですっ!」と知らせてきた。それを受けて、私はデスクの上にある固定電話の受話器を上げ、一番の保留ボタンを押した。

「沖田です。おじさん、おはようございます。どうされました?」

「おう、沖ちゃん、おはようさんっ。新聞みたか? あれ、そっちの人間か?」

 先ほどの他団体幹部と同じ内容の問い合わせであった。

「いえ、ちゃいます。さっきも□□組から問い合わせありましたんで、□□組でもない思います」

「そうかっ。また、わかったら、ウチの事務所にでも電話くれや~」

「わかりました」と応え、通話が途切れたのを確認した後、私も受話器を置き、ホットコーヒーを飲み干した。

 実はこの時点で、爆破まで5分前であったのだ。そんな事を露とも知らず、今度はスポーツ新聞なんかを読み始めていた。

 爆破3秒前。

 テレビ欄を確認していたあたりであろうか。再び、私の携帯電話が鳴った。かけてきたのは先ほどの□□組幹部である。

 爆破2秒前。

「今、〇〇署のデコ(刑事)に聞いたんでっけど、さっきの新聞のヤツ、沖田はんの若い衆ゆうてまっせっ~」

ドーン!