>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑰ ~60days~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑰ ~60days~

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世界中の黒社会が注目するYamaguchi-gumi


 そもそも「神戸側と六代目側が、再びひとつになる可能性」という質問自体、時期尚早だったかもしれない。再統一の話し合いをするにせよ、はたまた抗争するにせよ、ベースとなるのは自分たちのグループの基盤がしっかり固まっていてこその話だ。

 名古屋支配管理体制でガタガタになった神戸一派により樹立された神戸山口組。今は何よりも組織固めのほうが優先される時期だろう。そして、神戸一派の離脱によって同様にガタガタとなった六代目山口組。こちらも組織固めが最優先のはずである。

 それにしても、あの名古屋支配管理体制時代に全国で猛威を振るった名古屋一派の、現在の崩れようはいったいどうしたものなのだろうか。まさに「あの頃はいったいなんだったのか?」と疑いたくなるほどの崩れぶりである。

 あの頃、名古屋から遠く離れた東京ですら、名古屋系の組員の存在は脅威だった。様々な場面で名古屋独占が起きていた。誰もが名古屋一派には一歩引く状況が多く見られた。とある芸能関係者は、後藤組の除籍により、一時的にものすごく弱腰になったが、ある日突然、それまで以上に強気な姿勢に戻った。彼の手中に、名古屋一派を代表する団体の名刺があったことは言うまでもない。もっとも、その程度のことは珍しくもなんともなかった。当時は、あらゆる業界で、これと似たようなことが起きていたからだ。それが、神戸一派が離脱して、わずか2ヶ月程度で、脅威も猛威も権威も消え去った。たった2ヶ月で、である。

 確かに、当局の苛烈な弘道会壊滅作戦により、多くの力ある組員が収監中となっている現在の名古屋一派の体制は、けっして本来の姿であるとは言えない。だが「ヤクザが風下に立ったらしまいだ」という言葉がある。どんなに逆風が吹き荒れようとも、譲ってはいけないものもあるはずだ。たとえひとりきりになっても、決断しなければならない「身体をかけた空間」にいるのがヤクザである。神戸山口組と六代目山口組が本抗争をはじめることよりも「山口組の六代目がこの事態をどう乗り切るのか?」のほうが業界の注目するところとなっている。もちろんこのことは、世界中の黒社会、裏社会からも注目されている。

 六代目山口組の外交政策の代名詞にもなった盃外交。それにより、関東の老舗組織は2つに分裂した。そして六代目山口組が内政で推し進めた中央集権化。人事権を執行部が完全に掌握し、二次団体でさえ組長の首を簡単にすげ替えた。二次団体独自のやり方を許さず、地方色やその組ならではの習慣も消滅、または変更させた。これまで当事者同士に任せていたような事案ですら細かく指示してコントロールした。そういった事がすべて、今、六代目山口組に降りかかっている。

(取材/文 藤原良)