ヘイトスピーチは下火になってきたか?
ヘイトスピーチ(差別扇動表現)を撒き散らす、『在特会』(在日特権を許さない市民の会)などに、僕は2013年からカウンターと呼ばれる抗議活動をしてきた。ヘイトスピーチは社会問題となり、国会でもヘイトスピーチ規制法は審議されている状態だ。
カウンターの声に掻き消され何にもできない差別主義者たち。
#ヘイト街宣を掻き消す
#9月20日六本木ヘイト街宣を許すな pic.twitter.com/7q3Wknu2La
— 高橋直輝 (@1973_takahashi) 2015, 9月 20
最近では、もう在特会は下火になってきた。つい先日の9月20日。僕もカウンターをかけた東京六本木で開催された『新社会運動』主催「支那中共地獄へ墜ちろ! 街宣in六本木」という差別街宣の参加者は10名程だったと聞いている。
「なぜ、差別主義者は銀座でデモをやるのか」を推理する
僕がカウンターを始めた2013年の頃は、在特会などの差別主義者のデモは新大久保がメインだった。
しかし、カウンターの盛り上がりもあり新大久保で差別デモはできなくなる。関東では、その他の場所でも差別デモはカウンターの勢いに呑まれるようになっていった。
しかしながらある場所では、差別デモは頻繁におこなわれ続けられていた。未だに差別デモが頻繁におこなわれている場所、それは銀座である。
銀座の警備は酷すぎる
銀座のデモを管轄しているのは丸の内署と築地署であるが、この警備が酷い。カウンターを、ガンガン押すわ、ど突くわ、威嚇するわである。
また、差別デモ隊側の担当をしている公安警察は、一部おかしな人間がいる。カウンターに向かって「突っ込めよ」などと煽る発言をしたりするのだ。挑発に乗れば逮捕されてしまうので要注意だ。
おまけに、カウンターがやり辛くて仕方がない。警備はすぐに歩道を封鎖して、差別デモに対して、カウンターが並走できないようにしているのだ。
原因はこれである。なので、差別主義者は好んで銀座で差別デモを開催するようになっていったのだろう。
今こそ、銀座でカウンターを
カウンターをする人たちの間でも、カウンターがやり辛い銀座ではスルー方針の雰囲気があった。僕もそうだった。そんな中でも、いつも差別デモに対し、少人数だけれどもカウンターをおこなっている方々はいた。
この現状を見るに見かねて、とある僕の仲間が「銀座でカウンターをするべきだ」と言いだした。そうして、9月21日の『行動する保守運動』主催の「超嫌韓デモ in 銀座 ‐ 大嫌韓から超嫌韓へ」という差別デモにカウンターをかけた。
この日はシルバーウイークということもあり、差別デモ隊側は90名程だったという。ここ最近では、珍しく多い人数であるが何てことはない。一時期は数百人をコンスタントにデモに集めていた在特会だ。これが現在の在特会の最高動員数の目安になると思う。
そして、対するカウンターの人数ははるかにそれを凌駕していた。警備の嫌がらせにも負けず、カウンターをやり遂げたのだ。
だが残念ながら、これからも銀座で差別デモはあるようだ。しかしながら、逆に考えれば、銀座の差別デモさえ攻略をすれば、差別主義者たちは更に下火になるというわけだ。
今後とも銀座でカウンターをかける必要性は大である。
(文=山口祐二郎)
山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。歌舞伎町ホストなどを経て、新右翼「統一戦線義勇軍」幹部に。2007年に防衛省襲撃事件を起こし、2012年に脱退。現在は作家・活動家として活躍。 著書に『ハイリスク・ノーリターン』(第三書館)などがある。
山口祐二郎の公式ブログ「火炎人間」http://yamaguchiyujiro4.seesaa.net/
山口祐二郎さんが「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」で入選されました!(編集部より)

さる9月18日に発表された第26回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」で山口祐二郎さんの作品「在特会壊滅への道」が佳作に入選されました。おめでとうございます。なお選評は以下の通りです。
●このルポは、「自分はなぜ書くのか」という動機に満ちている。アウトローで金持ちでモテモテになりたくて入った右翼の世界。しかし一銭にもならないので歌舞伎町のホストへと転身。同棲していた女性の自殺未遂でホストからヒモへ。「自分を晒す」ことによるエンターテイメントが成立しているのだ。(雨宮処凛/作家)
●「在特会壊滅への道」は、在特会のヘイト・スピーチに対抗するカウンター活動で在特会の活動を下火にさせていった経緯をまとめた自伝的・自己体験的ルポルタージュであり、文章のテンポも良く、読みやすかった。著者には今後、取材に基づくルポを期待したい。(宇都宮健児/弁護士)
●私は「在特会壊滅への道」に最も心を動かされた (佐高信/評論家)
なお、山口さんの作品「在特会壊滅への道」はwebでもご覧になれます。どうぞこちらもご一読ください。(リンクはこちら)