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俺の、最後の獄中絵日記 第226回

好きなものを好きなだけ喰えるってことがどれだけ素晴らしいことか

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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この旨さ、格別だよ

2013年(平成25年)8月22日

懲役の夏はサ、夏の間だけ、3〜4回アイスが喰えるんだよ。
午後の休みのときに10分間を使って皆で喰うんだ。
安いチューチューアイス棒のところもあれば
クーリッシュなんてのを出すところもある。

今日はそのたった3回のアイスの日の内で第1日目だ。
シャバでは夏冬問わず1日10個くらいは必ずアイスを喰う俺が
どれほどこの日を待っていたかわかるだろ。

糖尿病になるとか体を壊すとか子供みたいだとか
歩きながら食べないでとか色々うるさく言われても
決して改めず好きなものを好きなだけ喰ってきたのに
およそ1年ぶりのアイスだ。
涙が出るよ。

出たのはカップの氷イチゴの真ん中にアイスクリームの入ったやつ。
あまりにオーソドックスで、シャバではまず手に取らない種類のやつだけど、
なんの文句もない。

旨い。

汗が引いた。

ここがシャバなら間違いなくこのまま10個を平らげるところだ。
約1年前はクーラーの効いた涼しい部屋で2人でアイス喰ってたのが嘘みたいだ。
そんな小さな幸せがすごく懐かしいよ。
もう一度そんな日々を送ることができるかな。
そしたら今度こそ俺はそんな日々を大切に生きることにするぞ。
だってよ。こんなに暑くて苦しい日々はもうまっぴらなんだ。
なのにノドもと過ぎれば熱さ忘れる馬鹿野郎なんだな。

今度こそ忘れないよ。


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