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俺の、最後の獄中絵日記 第225回

九州の空の色に今ごろ気がつくなんて

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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空を見上げてみたら

2013年(平成25年)8月21日

今日の運動はグラウンドだったけれども、走らなかった。
あまりの暑さに体調のことを考えてのことで、ゆっくりと歩くことにしたのだ。
だって九州は各地で観測史上最長の猛暑日を記録更新中なんだぜ。
こんな時に九州に来てしまった俺も本当についてない。

以前山梨県甲府市が最高気温全国2位を出した日も
俺は甲府刑務所のグラウンドを走っていた。
懲役中は全ての面でツキに見放される俺なのだ。
もう慣れたよ。

それでも運動の時間はびっちりと限界まで体を動かすことを止めない俺だったから
今日のように自分に負けて歩いているとすごい罪悪感にかられるのだ。

しかし今日はなんとなく違った。

ゆっくり歩いてて気づいたんだ。
九州の空がすごく青いってことに。
都会育ちの俺が知ってる水色なんかじゃなく
もっともっと深い青だよ。
そこに湧き上がる雲は手を伸ばせばつかめそうな立体感で、
こんな空初めて見た。
雲の白さがまぶしくて目にしみる。

こんなところにいることに焦りを感じるけどサ、
逆に落ち着いてペースを落としてゆったりとした気分になれたら
今まで気がつかなかったものが見えてきたりするのかな。
草に寝転がって、ずっと見ていたいよ。


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