>  >  > 俺は誰に頼まれたわけでもなく、俺自身がしたいから黙祷するんだよ
俺の、最後の獄中絵日記 第219回

俺は誰に頼まれたわけでもなく、俺自身がしたいから黙祷するんだよ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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今日は終戦記念日

2013年(平成25年)8月15日

昨日、関門海峡で戦時中にアメリカ軍が5000発落としたという機雷の不発弾が一発見つかり、市民の見守るなか、それが爆破された。
海岸より5km沖で行われた爆破は100mにのぼる水柱を吹き上げ無事終了。

しかしこの機雷の不発弾、未だ100発以上が海底に眠っていると言われている。
こんな風に戦後60年が過ぎた今も、戦争の爪痕は色々な場所に残されたままだ。

そして今日は終戦記念日。

シャバでは正午になると"黙祷"の声を聞いたりするが、
この刑務所内でも必ず一分間の黙祷のの時間を設けている。
今年からは3.11にもこの黙祷をするようになったのだが、さてこの黙祷。
必ず「強制じゃないからナ」とオヤジは付け加えて俺たちに告知する。

詳しい事のよくわかっていない俺がこんなことを言うと笑われてしまうのかもしれないが
戦争で命を落とした人のために一年のうちのたった一分間を惜しむ人がいるのだろうか。

刑務所の中で色々な事を強制する前に、まずこの黙祷ではないのだろうか。
ばあちゃんに聞いたが、俺のじいさんは海で戦死した。
お国のためかは知らないが、妻と産まれたばかりの娘(俺のお袋)を守るためだけは確かだろ。
その後俺の成長だけを生きる糧にしてきた優しいばあさんも死んでしまった。

政治のからんだ難しい話はわからんが、
俺は毎年じいちゃんとそれを支えたばあちゃんに黙祷している。

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