>  > 「弁護士という仕事は、悪の誘いも多いんやろな」と元極道が自分の体験も交えつつ推測
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

「弁護士という仕事は、悪の誘いも多いんやろな」と元極道が自分の体験も交えつつ推測

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弁護士といえども聖人君子ではない


 弁護士にまつわる事件で、どうしても忘れがたい弁護士が私には二人いる。

 一人は、この弁護士と同じように自ら命を絶つ道を選んだ。

 死に方が死に方だっただけに、一説には他殺説も流れたが、状況的にも警察の公式発表通り自殺であろう。

 この弁護士の名前を仮にYとしよう。

 Yの弁護活動は実際デタラメであった。あまりにデタラメすぎたために、逆に他殺説が流れたのかもしれない。

 一般的に弁護士が被害者からの依頼を受け、被害者の弁護を選任する事になった場合、加害者の弁護に回る事は当たり前だが禁じられている。逆もしかりである。

 だがYは、被害車からも加害者からも平然とした顔で着手金を受け取り、いよいよ切羽詰まってくるとすべて放り出してしまうことが何回もあった。

 ボソボソと話すYの喋り口調は法廷では頼りなかったが、金次第で違法の境界線もひょいと超えてくれるので、裏社会の人間に重宝される面もあった。もちろん同じくらい怒りも買っていた。

 また、Yには絶えず覚醒剤使用の噂がまことしやかに流れていた。

 そんな悪名高きYが自ら犯罪に手を染めてしまい、さらに捜査の手が自分の間近まで迫ってきたことを知ると、Yは忽然と姿を消してしまう。この時、押収されるはずの覚醒剤も姿を消した、と言われている。

 その後、Yは水死体で発見された。その遺体に外傷などはなかったという。


 Yの訃報を、私は刑務所の回覧新聞で知った。

 実は私とYの間にもシコリがあった。

 私がある事件で逮捕された時に、Yのほうから警察署まで面会にやって来て「何か困ったことはありませんかっ?」と言って来たので幾つかの頼み事をしたのだが、その頼み事で動き出した矢先に事件の被害者の弁護を受けてしまうという一幕があったのだった。

 そのシコリを長らく抱えていた私だったが、刑務所でYの死の報に接した時には、驚愕と共に、すべてが過ぎ去りし過去となって、うらみも憎しみも儚く消えていったのだった......。