>  > 愛知県岡崎市「コンビニ立てこもり事件」の映像が元極道の記憶を呼び覚ます!
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

愛知県岡崎市「コンビニ立てこもり事件」の映像が元極道の記憶を呼び覚ます!

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
okita_news_0901_01.jpg

コンビニで店員人質に立てこもり、監禁容疑で男逮捕(リンク

コンビニで店員人質に立てこもり、監禁容疑で男逮捕
TBS news"i" (31日18:07)
 (前略)31日午前2時50分頃、愛知県岡崎市の「セブンイレブン岡崎上和田店」に、刃渡り17センチの包丁を持って押し入った男。「金はいらない、酒を持ってこい」と、男性店員1人を人質にして店に立てこもりました。(中略)

 午前8時すぎ、あごにかすり傷を負った人質の店員を保護。監禁の疑いで現行犯逮捕された無職の鈴木保人容疑者(32)は「死ぬのなんか怖くないよ」と、自分の左手首を傷つけましたが、かすり傷だということです。

 「(Q.鈴木容疑者の性格について)やさしくて良い子だった。大学まで出したのに。気が小さいかな」(鈴木容疑者の祖母)

 「人生を悲観して、何か大きなことをやってやろうと思ってやった」と供述しているという鈴木容疑者。売り物の酒を飲んだ形跡があり、逮捕当時、酔っ払っていたとみられるということです。


ヨシモト新喜劇かっ!?


 何か大きなことをやってやろう!と考えた男が、酒もってこいっ!......コントであろうか。

 て言うよりもこのセブンには酒がなかったのか? せめて酒を扱っているコンビニに立てこもるべきでなかったのか?

 確かに逮捕前の映像を見る限り、この鈴木が店内で包丁を握りしめている事は確認できた。だが、その映像にはどこか緊迫感が欠けている気がしてならなかった。

 捜査員の突入にしても、アナウンサーが必死に、「今、捜査員が突入しましたっ!」と緊迫した声で言うのだけど、突入と言うよりも、どこかもぞもぞとしながら店に入っていった、と言ってしまったほうがしっくりくる気がしてならなかった。

 挙句、アナウンサーが「今、捜査員に両脇を抱えられ、人質が救出されましたっ!」と実況した時も、人質の店員の方は抱えられているようには見えなかったし、少し半笑いの顔をしているように見受けられた。

 これら全ての原因は、鈴木自身の動機の鈍臭さにあったのではなかろうか。やけ酒をかっ喰らおうと考えた鈴木に、周りがしぶしぶ付き合わされているような弛緩した空気が漂っていたような気がするのである。

 かくいう私も鈴木と類似した包丁男に遭遇した事がある。

 1年前の話だが(※編集部注 めちゃめちゃ最近の話じゃないですか!)、私が所用で若い子を連れ国道沿いを走っていると、場違いな風景が視界に飛び込んできた。

 歳の頃は、30過ぎだろうか。その男が70過ぎの老婆に向け、包丁を振り回す「素振り」を演じていたのだ。

okita_news_0901_02.jpg

写真はイメージです

 でも、決して刃が顔や身体をかすめるようには振り回してはいない。あくまで「素振り」に終始している。だが、万が一に発展してはいけないので、私は車を停止させた。

 すると連れていた若い子が、愛知県岡崎市立てこもり事件を今回、実況していたアナウンサーのような声で、「行くんすか!?」と鼻息荒く尋ねてきた(本人の名誉のため為に、敢えてここでは「若い子」で通したい)。

 私が頷くと、なんと「若い子」は私より早く車から飛び出して行ってしまった。

 当然、包丁男のところには私より早く着いてしまう訳で、こちらとしては包丁男に飛びかかるものだと思っているから(最近の若い子にしては肝座っとるやないか)と感心していたのだが、その「若い子」はなんの躊躇も見せずにクルッと私のほうに振り返り「こちらですっ!」

 ......ズッコケそうになってしまった。

 で、緊迫しているはずの現場の状況だが、ばあちゃん達3、4人が涼みにきたような格好で「もう~やめときや~」とのんびりした声で包丁男に言ったりしているのである。

 そして、ひとりのばあちゃんが私に気づき「びっくりしたやろ、いつもやねんっ」と意地悪っ子のような顔を作って、微笑んでくるではないか。

 それをきっかけに、包丁を突きつけられていた被害者であったはずのばあさままで「帰るで!」と言い出し、加害者のはずの包丁男もその後をトボトボと着いて行ってしまった。

 包丁男との格闘も予想して上がりまくったテンションが見事にスカされてしまい、どうしたらいいのかわからず包丁男の背中に「お兄ちゃん、そんなもん振り回したらあかんでっ」と声をかけてみたのだが、ムシされてしまった。

 今回の立てこもり事件が、私にはこの体験談とどうにもダブって仕方ない。

 もっとも、どちらのケースも大事に至らなかったからこそこうやって語れるのであって、重大な被害が発生してしまっていたら、とてもじゃないがこんな呑気には語れなかっただろう。





沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。