>  >  > あの口うるさいオヤジに注意されなかったって初めてだ。だって...
俺の、最後の獄中絵日記 第211回

あの口うるさいオヤジに注意されなかったって初めてだ。だって...

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


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初めてオヤジに注意されなかったぜ

2013年(平成25年)8月7日

ずいぶんオヤジには言われちゃってるよ。
「声に元気がない」
「もっと手を体側につけろ」
「五指をそろえてズボンの縫い目に合わせろ」
「もっと背筋を伸ばせ」
「番号をはっきり言え」
「起立、着席が遅い」

そして舎房に帰ってからも
「水を流しっぱなしにするな、洗面器使え」
「布団のシワを伸ばせ」

昨日も朝から言われたよ。
一日どんなに気合を入れて今日こそ言われないようにと思って頑張ってもダメなんだな。
ちゃんとしてたって言ってくるんだから。
おもしろいオヤジだよ。
これでも俺は注意されない人間の1番か2番なんだぜ。
この担当オヤジどれだけうるさいかわかるだろ。
朝からずーーーっと声が止まることがないんだから。
そういうところで今俺は生活しているんだよ。

でも今日、珍しく何も言われず、ものすごく心おだやかにこの日記をつけているよ。
ははは。満足。
当たり前だよな。
だってオヤジは今日休みだったんだから。初めてネ。
なんだか今日は工場中がなごやかな雰囲気に感じたのは俺だけだろうか。
とても静かだった。

よーし。
気持ちを入れ替えて、明日の今頃も心おだやかに居れるよう頑張ろう。
今日はほんの戦士の休息だ。
明日はまたあのオヤジとの闘いが待っている。


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