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山口組分裂の原点を探る! 日本のヤクザ社会に今、何が起きているのか!?

組長が引退できない理由

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 暴力団業界でも高齢化が進み、毎年のように、どこかの地域で長年暴力稼業に身を置いた人が高齢により引退や勇退をしている。先頃も、長年に渡って組幹部だった人物が引退をした。引退前は自身でも組を率いながら自身が所属する上部団体の副長を長らく務めていた。その人物は筆者にこう言った。

「こんなに長くやるとは思わなかったな」

組員の高齢化と組織の弱体化と

 暴力団とは文字通りバイオレンスでアクティブでなくては務まらないので、その人物が駆け出しの頃は、30歳代や40歳代の組長も多く、60歳を過ぎたら体がもたないのでほとんどが引退したり顧問等に直っていたという。

「うちの組長は高齢なので常に入院中です」では、組としてはやりやすいものではない。また、長期服役もある業界なので、高齢での服役は、獄中死もあるため、シャバに残した子分たちに面目ないという思いもある。それがなんとこの人物は70歳過ぎまで現役をやってしまったのである。

 広域指定暴力団という大組織にもなれば知識と経験と統率力という面からあえて高齢組長が首領をつとめるというあり方もあるが、街という現場で24時間体制で活動する多くの組がどうしても夕方には眠くなってしまう高齢組長や高齢組員では何より本人自身の体力がもたない。組としての動きも鈍くなってしょうがない。

 暴力団員の高齢化については警察や市民の努力により若手暴力団員の数が年々減少しているからという理由もあるが、他にも様々な理由があるのだ。

 例えば、他所の組のシマを一代限りの条件でその組が借りていた場合、借りている組長が引退すると同時に、仮に二代目がいたとしてもそのシマにこれまで通りに居る事は出来なくなる。組長一代限りのシマ貸しという条件の為、組員の事を考えると組長は引退したくても引退出来ない。組長の高齢化がどんどん進むだけである。

 また、若い頃から方々に無茶をやり過ぎており引退した途端に殺されるかもしれないので、引退せずに現役として粘っている組長や組幹部もいる。別に逃げているわけではないが、喧嘩をしても歳には勝てないという事である。

 他には、以前の相撲の年寄り株の様に次の代になる者に組長の椅子を買い取るよう仕向けている組長だったら、買い手が現れない限り、組長を続けるしかないという状況もある。買い手がいないままで引退をすれば組が消滅してしまうので、最後のひと儲けが出来なくなるから、買い手をひたすら待つしかない。よって高齢化がどんどん進む。それが組の弱体化につながる事も多い。