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山口組分裂の原点を探る! 日本のヤクザ社会に今、何が起きているのか!?

未解決事件の闇 ~週刊誌記者の事件簿から~

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 かれこれ二十年以上にわたる私の記者歴のなかで、もっとも奇妙で不可解な事件が2003年におきた痛ましい児童売買春事件、通称「プチエンジェル事件」である。どこか奇妙だったのかを語る前に、なにしろ12年も前の事件である、まずは事件のあらましを簡単に振り返ってみよう。

それは少女の脱出で発覚した

 2003(平成15)年7月17日の昼過ぎ、東京赤坂の裏通りにある生花屋に、パニック状態の女子小学生が裸足で駆け込んできた。
 
 少女によれば自分は近くのマンションの一室に無理やり連れ込まれ、今も自分の友人が3人ほど手錠をかけられて監禁されているのだ、という。花屋の女性店員はすぐさま警察に通報、現場とされる高級マンションI赤坂(仮名)の11階ペントハウスへ警官たちが駆けつけると、少女の証言どおり3人の女子小学生の姿と、犯人らしき男Y・K(当時29歳)の死体が発見された。部屋には練炭が燃え尽きたあとがあり、逮捕を恐れた犯人はこれを使って自殺したと推測される──というのが、この事件のおおまかな流れである。

 少女たちはその後の取り調べで、児童買春クラブ「プチエンジェル」で売春行為をさせられていた、と供述。さらに5日後の22日にはYが借りていた横浜市港北区の部屋と埼玉県久喜市の部屋が捜索され、千本以上のビデオテープ、2千人にもおよぶ顧客名簿と35億円もの貯金証書が押収された。

 これで一気に真相究明が進むことが期待されたが、翌週には事態が急転。容疑は児童福祉法でも売春防止法でもなく、未成年者誘拐と逮捕監禁に切り替えられ、Yを被疑者死亡のまま書類送検することで警察庁は捜査の実質的な幕引きをしてしまったのである。

 押収されたビデオは「プライバシーに配慮」して公開を一切拒否、顧客名簿も「ほとんどが偽名だった」という理由で発表は見送られた。

 事件のあったマンションの管理会社は、この部屋を借りたのは「ヤマザキ」と名乗る、Yとは別の男だったと証言したにもかかわらず、その「ヤマザキ」なる人物の足取りは捜査されず、すべてYひとりの単独犯ということで処理されてしまったのである。