>  > ヤクザ史に残る伝説的抗争事件の真実
山口組分裂の原点を探る! 日本のヤクザ社会に今、何が起きているのか!?

ヤクザ史に残る伝説的抗争事件の真実

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単純すぎて盲点だった戦略とは!?

 組員を刺殺され、A組に対する報復を開始したB組は、こうした問題をクリアにするために、この地域にいるB組の組員を全員即時、引っ越させたのである。そして、A組と日頃の付き合いがまったくない別の組員たちを上部団体から借り受け、この地域に送り込んだ。A組はもちろん警察にすら顔を知られていない完璧なヒットマンを多数、B組はこの地域に潜ませた。

 その日から、A組はパニックに襲われた。誰に狙われているかも分からず、反対に誰を狙えばいいのかも分からず、すべて予想すら出来ない状況に陥ってしまったのだ。

 1日ごとに、A組だけ死傷者の数が増え続けた。地元老舗組織だけあってA組も数か月間、抗争を持ちこたえたが、「見えない敵」との戦いは予想以上の疲労と摩耗と疑心暗鬼を生み、A組はやがて降参するしかなかった。

 戦術とは、緻密であったり綿密であるものだけがよしとされる傾向があるが、人力で行う以上、時として、シンプルかつ大胆不敵に行うことも大切なのである。知っている者同士でケンカをやるしかないのなら、知らない者を送り込めばいい──そんな単純きわまりない戦術が、ときとして誰もが予想しなかったほどの破壊力を持つときがあるのだ。

 会議に会議を重ねて、誰から見ても最善と思われる方法を選択するのではなく、経験から得たカンだけを信じたB組の戦略眼のすさまじさは、暴力団だけでなく、様々な一般企業にもなにかのヒントをくれるのではないだろうか。(2015年2月3日公開)


(取材/文=藤原良)



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その抗争事件は歴史を変えた......(写真はイメージです)