東京都内のJR施設で不審火が相次いでいる事件で、警視庁捜査1課は15日、威力業務妨害容疑で逮捕したのは東京都武蔵野市吉祥寺東町の自称ミュージシャン、野田伊佐也(いざや)容疑者(42)と発表した。
ロックとは生き様であるのなら、野田容疑者も立派なロッカー......か?
今日の"自称"はミュージシャン。

野田容疑者のインスタグラムより
「AKKA」というバンドで過去に活動していた事は分かっているのに、あくまでそこは譲らず自称のゴリ押し。そこまで「自称」にこだわる必要はないと思われるが、是が非でも野田をロッカーとして、認めてやらん、という事か。
だが、ロッカーとして野田を世間が認めなくとも、野田はロックを奏でている(ただのバカともいうが)。
それは、彼の現時点の供述である「大量に電力を消費するJRを許せなかった」にも表れている。実にロックではないか(傍迷惑とも言うが)。
笑うなかれ。野田は、憂いていたのだ。
だったらちゃんと仕事しろ、という外野の声も、野田のお父さんの「もう本当に信じられないことですから、どうしてこんな事をしたのだろう」という切実な声も、ロッカー野田には響かないのである。野田が作詞を担当したという曲「ゲリラ」の歌詞にあるように「燃やせ!燃やせ!燃やせ!」なのである。
だけど、「放火はしたが業務妨害にあたるとは思っていない」とも供述している。そのあたりも、ただの放火魔とは大違いである。そのへんの放火魔なら、そもそも火をつけた事自体を認めない。

野田容疑者のインスタグラムより
赤い自転車で下見していた事も、火災現場近くの防犯カメラに映っていた黄色のテンガロンハットを被る野田も、まぬけではなくロックなのである。その証拠に、逮捕された時の警察車両の中の野田の顔つきをみれば、一目瞭然だ。目をつぶり、実に落ち着き払っている。危うく、この男がチンケな放火魔である事を忘れてしまいそうになってしまった。
だが、悲しいかな。これだけロックな姿勢を披露しても、自称・ミュージシャンのレッテルをはずしてもらえない。
42歳。ロックも良いが(放火はよくないが)おとうさんもお母さんも泣いておられるぞ。電力の使い過ぎに嘆く前に、自分の姿に嘆くべきではないか。野田もそろそろ、ロックから目を覚まさなければならない。
沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。