相変わらず覚醒剤使用事件が後を絶ちませんが、4月9日には警視庁の元警部が逮捕され、またしても社会に衝撃を与えてしまったようです。
堕ちていく刑事

事件を報道するニュース映像
今回逮捕された警視庁小松川署の白井聖志元警部は、定年退職までに62回の警視総監賞を受賞した元マル暴刑事。
報道によれば、自宅で微量の覚醒剤を所持していたようですが、所持は認めず、「オンナのところで使用した」と話しています。
さて、警視庁は追加取材拒否だそうで、報道だけで判断するしかないのですが、やはり「現役時代のコネ」とは無関係ではなさそうです。
「定年まで勤められたのだから、現役時代のシャブは控えめだったのかもしれないけど、(ヤクザとの)『癒着』はあったと思う。マル暴はヤクザから情報を取ってナンボだから、つい近づきすぎるんです」

連行される白井聖志容疑者
現職時代に覚醒剤の使用等で逮捕されて有罪判決を受けた北海道警の元警部・稲葉圭昭さんは、こう分析します。
「シャブをやってると、まずカネに困ってきます。高いからね。この白井さんがどうやってたかはわからないけど、カネから背後関係を洗うとわかってくるんじゃないかな。警視庁はこれ以上は捜査しないでしょうが、ヤクザから小遣いもらってるマル暴は多いんです。オレはもらってないけど(笑)」
近づきすぎて感化されたり、お金をもらったり、というのは、よく聞くお話ですね。
スポーツニッポンの記事には、ご近所さんの印象として「ホストかなんか、水商売とかやってるんじゃないかなって雰囲気。下向いて、パンかじって歩いているの何度が見た」とあります。
かなりいいトシなのに「ホスト」ってのもよくわからないのですが、とりあえず「カタギには見えない」雰囲気は伝わってきます。
「マル暴はみんなそうですよ。服装もヤクザに似てきてしまうんです」と稲葉さん。
なるほど。ところで外見はともかく、そもそも「警視総監賞62回」というのは、どの程度すごいんでしょうか。
同じくスポニチさんによれば「捜査員が定年するまでに受賞する警視総監賞は平均50本ほど」だそうで、「窓際ではないけど、さしてすごくもない」感じですね。
これらの受賞は、やはりヤクザとの癒着による「ヤラセ捜査」の賜物なのでしょうか。
「報道には62回のうち10回が薬物事犯とあるけど、薬物でヤラセは難しい。銃刀法は自首減免制度で『銃を持って自首すればお咎めなし』というのがあるけど、ヤクザがシャブを持って自首したらほぼ実刑ですよ。司法取引をやってる可能性はありますが、いずれにしろ定年までいられたということは、そっち関連でトラブルを起こしていないからですね。そんなふうに、うまく立ち回ってきた人が、なんでシャブに手を出すのか......。フシギですね(稲葉さん)」
たしかに謎ですが、定年退職後にタクシーの運転手さんをしていたというのは、どうなんでしょうか。
「実は警察は天下り先が少ないんです。定年まで勤めれば年金がかなりもらえるから、小遣い稼ぎ程度に働いていたのだと思います。かえって気楽でいいのではないでしょうか。それより『オンナのところで』って、ひどいね。誰かのせいにしてはダメです。全部自分でかぶらなきゃ(稲葉さん)」
こちらも納得のご意見ですが、そもそも違法薬物に手を出すのをやめないとですね。(2015年4月11日公開)

元職員の不祥事なのですから警視庁もなにかコメントを出すべきでは?
(取材/文=吉原美姫)
吉原美姫 プロフィール
よしわらみき/『実話ナックルズ』や今はなき『実話時報』などで日本社会の裏事情を取材。「いわゆるフツーの媒体で書けないことを書いていきます」