>  > 夏の終わりの新宿歌舞伎町のラブホテルで起きた、歳の差18歳カップルの殺人事件
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

夏の終わりの新宿歌舞伎町のラブホテルで起きた、歳の差18歳カップルの殺人事件

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さらばジョニー


 このような取り返す事のできない事件の後は、ちょっと笑ってしまうラブホテルにまつわる事件をひとつばかり、お話ししたい。

 その男は「ジョニー」。もちろん、生粋の日本男子である。

「ジョニー」は歩く時代錯誤であった。今の時代に全くついてこれていない服装にキマっていないリーゼント。美人とすれちがうと「お、マブいギャルじゃん」とか言い出すので、どちらかというと一緒に街を歩きたくないタイプの男かもしれない。

 そんな「ジョニー」の仕事は、寂れたラブホテルの受け付けだった。

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写真はイメージです

「ジョニー」は、受け付けの仕事が気に入っていたが、ひとつ悩みの種があった。それは、その寂れたラブホテルにはポン中が頻繁に出入りしており、その中にもっともたちの悪い「タヌキ」というポン中がいたのだか、そいつが「ジョニー」の頭を悩ましていたのだった。

「タヌキ」は部屋にこもると出てこない。チェックアウトのコールを鳴らしても出てきてくれない。警察に通報したいが、後が怖い。「タヌキ」の悪行は次第にエスカレートしていき、ルームサービスの飲み食いすら金を払わなくなっていってしまい、果ては「ジョニー」の憩いの場である受け付け室にまで入り込むようになってしまったのだ。

 もうそろそろ、警察に密告してもよさそうなものだが、「ジョニー」は正反対の行動をとってしまう。なんと「タヌキ」に勧められるまま、覚せい剤に手を出してしまったのである。そうなると追い出すどころか「タヌキ」に自分の方から電話を入れるようになってしまい、どっぷりと覚せい剤と「タヌキ」の虜になっていってしまった。

 だが、そんな「ジョニー」の生活は長くは続かなかった。

 立派なシャブ中になった「ジョニー」は、チェックアウトを知らせる10分前のコールを10分の間に10回近く入れてしまうようになったのだ。1分に1回のハイペースである。これには客の苦情が相次ぎ、すぐに「ジョニー」はラブホテルの受け付け室から叩きだされてしまった。

 憐れ「ジョニー」。

「ジョニー」、お前はどこか哀愁漂う男であった......。「タヌキ」と出逢ってさえいなければ、今も寂れたラブホテルの受け付けをやっていた事であろうに。さらば「ジョニー」。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。