>  >  > 薔薇の香りのする女編11「出会えたのも突然、そして...」
FtM琥太朗のYARICHINダイアリーズ 第30回

薔薇の香りのする女編11「出会えたのも突然、そして...」

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回までのあらすじ。
伝言ダイヤルで遭遇した、気品のあるお姉さん・和美さん。とりあえずと入ったカラオケ屋で歌ってるうちに、盛り上がってきてキレイなバストに吸い付きお姉さんの虜に。もう本能は我慢ができなくなって次を求める琥太朗だった。


彼女の秘密を知っていくことに

 翌日、和美さんに連れられていった場所は、彼女と旦那さんが住んでいる家だった。

 都内でも西側の外れに位置する場所に彼女の家があった。電車で1時間ほどだったろうか。和美さんの旦那さんは仕事で留守にしていたので、オレは和美さんに部屋の中に入るように促された。そして和美さんは旅行に行くような大きなバッグに自分の着替えや日用品などを詰め込み、オレに手渡した。それから多分旦那さん宛ての手紙を書き、テーブルの上に置いて、オレたちは家を出た。ここまで1時間も掛からなかった。

「離婚届と他の大きな荷物はまた今度でいいかな?」


 それからオレたちは再び新宿に戻り、食事を取ることとなった。

「あのね、これから色々お金が掛かると思うから、回収するの手伝ってね。」

「回収? 借金?」

「ううん...実はね、私、愛人契約しててね...その清算と手切れ金を請求するの。」

 オレは和美さんと昨日から一緒にいて、ここで一番驚いた。愛人契約って本当にあるんだという思いと、和美さんが愛人をしていた事と、手切れ金を「請求」って...。オレの頭の許容範囲を大きく超えている話だった。

「まぁ手切れ金っていうか、その人に少しお金を都合していてね。それを返してもらうってだけよ。」

「少しって...いくら?」

「えっと...100万くらいだったかなぁ。」


 オレは再び驚いた。100万円って大金を「少し」って言えちゃうって、一体和美さんは何者なんだろう。確かに彼女が身に着けている服やバッグなどを見ればお金に困っていないのは一目瞭然だけど、主婦が自由に出来るお金って限られているんじゃないのか? オレの頭の中は少しパニック状態になっていた。
 和美さんはまたオレの考えていることを見透かしたように話し始めた。
 
「アルバイトしてたの。風俗系で。でも特にお金に困ってたわけじゃないから、バイト代は殆ど貯金にまわしててね。それで社長連中にお金を貸して、月々の手当と利子を貰っているから、ある程度のお金は持っているのよ。」

 まだ若かったオレは何も言えずにいた。ただ和美さんの言葉を聞いてもオレの想いは変わらなかった。和美さんは既に風俗系のバイトは辞めていたし、愛人契約もオレと付き合うことで辞めると言った。

 
 結局和美さんとは2年間付き合って、別れた。
 付き合うのも突然なら別れも突然だった。ある日一緒に住んでいた部屋に帰ると、家財道具一切と一緒に和美さんも消えてしまったのだ。

 オレはそれからしばらく女性不信に陥ってしまった。


 


kotarou0901_tum.jpg


(薔薇の香りのする女編 了)

   

kotaro_profile01.jpg


琥太朗(こたろう) エイプリルフール生まれ。おギャーッと生れてきたは良いが、母親の腹の中にチンコを忘れてきてしまった先天性FtM(性同一性障害者。女→男)。父親の強烈な女好き遺伝子をきっちりと受け継ぎ、10代後半からその才能を開花させる。現在はホルモン注射のみの治療だが何一つ不自由なくFtMとしてエンジョイライフを送りつつ、トラック運転手として日々荷物と格闘している。

編集部から
FtMとは、Female(女性)to Male(男性)の略称で、ひらたくいうと「身体的には女性に生まれついたけれど、自分は男性である、と思っている人」のことです。水商売で働くオナベさんも広い意味ではFtMに含まれるそうですが、オナベ=FtMというわけではありません。水商売以外で働くFtMもいっぱいいるし、なかには同僚にFtMと気がつかれていない人もいます。他の社会と同様、真面目に働くFtMもいれば、そうでないFtMもいるし、モテるFtMもいれば、非モテFtMもいるのです。この連載では、現在トラック運転手として働く琥太朗が、これまでいかにして女性を食いまくってきたのか赤裸々に告白していきます!