>  >  > 薔薇の香りのする女編⑥「目の前にホテルがあるのに入らない、というテクニック」
FtM琥太朗のYARICHINダイアリーズ 第25回

薔薇の香りのする女編⑥「目の前にホテルがあるのに入らない、というテクニック」

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前回までのあらすじ。
出会い系で遭遇した、気品のあるお姉さん・和美さん。とりあえずと入ったカラオケ屋で歌ってるうちに、盛り上がってきてキレイなバストに吸い付きお姉さんの虜に。もう本能は我慢ができなくなってきていて次を求める琥太朗だった。


昼は淑女、夜は娼婦の大人の女

 カラオケボックスでオレたちは自分の欲求を隠すことなく、お互いの身体を求め合ったが、場所が場所だけに最後まですることは出来なかった。

「凄い鼻息荒いよぉ(笑)。続きはこの後、別の場所でね♡」

 和美さんはオレの不完全燃焼の気持ちを察して、優しくキスをしてくれた。2人でいそいそとカラオケ店を出るとき、代金はまた和美さんが全額支払ってくれた。申し訳ない気持ちとバツが悪い感じとがないまぜになっていたが、それよりもオレの頭の中は和美さんに対する性的欲求でいっぱいだった。

 店を出たらすっかり外は暗くなっていた。時計をみたら既に19時を回っていた。オレと和美さんは腕を絡ませながら、ホテル街に向かって足を進めた。
 オレたちは不思議とホテルに着くまで一言も会話をしなかった。オレはさっきのカラオケ店で見た和美さんの感じている表情や真っ白なオッパイを思い出して、何となく恥ずかしくなっていて、和美さんの顔をまともに見ることが出来なかった。チラッと見る横顔はまだお酒が残っているようで、頬がほんのりとピンクに染まっていた。普通にしていればとても清楚で、セックスの時にあんなにエッチになるなんて想像つかない。「昼は淑女、夜は娼婦」というヤツだ。

「ここでいいかな?」

 和美さんが一軒のラブホテルの前で歩みを止めてオレに言った。オレは正直どんなホテルでも良かった。こういった場合、大体は女性に主導権があると思っている。だからオレは和美さんが気に入ったホテルならどこでもいいのだ。

「和美さんが気に入ったのなら、ここで。」

 オレは和美さんの機嫌を損ねないように受け答えしようと心掛けた。カラオケ店での余韻がまだ身体に残っているうちに、早く部屋に入って続きがしたかった。和美さんにはオレのがっついた気持ちが伝わっているようで、あえてそれを焦らすように、そのホテルには入らず再び歩き始めた。

「えっ...入らないの?」

「うん!もう少し...見て回りたいかなぁ...」

 和美さんはいたずらっぽく笑っていた。少し意地悪そうな表情だったが、そんな笑顔も可愛くて、オレは黙って彼女に従った。そんなやり取りを数回繰り返したが、とうとう和美さんは入るホテルを決めずにホテル街を一周してしまった。

「さて...どうしよっかぁ?」

 流石にこれにはオレも困った。こんなにやる気にさせておいて、今更「どうしよっか?」と言われても、オレには何て返答して良いか分からない。そもそも和美さんはもしかしてやる気が無くなっちゃったのかと、急に不安になってしまった。

「なんか、焦ってるね。どうしたの?」

 和美さんはニコニコしていた。オレの反応を見て楽しんでいた。これが大人の女の余裕というヤツか!?というか、弄ばれているのだろうか? オレはこれ以上和美さんになめられてはいけないと思い、和美さんの顔を真っ直ぐに見て言った。

「オレは和美さんを抱きたい! 和美さんは嫌なの?」

 一瞬、和美さんは動きを止めオレを見つめていたが、直ぐに笑顔になって再びオレの腕を引いて歩き出した。

「えっ...和美さん?あのぉ...」

「いいから!大人しく私についてきなさい♡」


 そう言って和美さんは一番初めに足を止めたホテルにオレを連れて入っていった。


 


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(続く)

   

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琥太朗(こたろう) エイプリルフール生まれ。おギャーッと生れてきたは良いが、母親の腹の中にチンコを忘れてきてしまった先天性FtM(性同一性障害者。女→男)。父親の強烈な女好き遺伝子をきっちりと受け継ぎ、10代後半からその才能を開花させる。現在はホルモン注射のみの治療だが何一つ不自由なくFtMとしてエンジョイライフを送りつつ、トラック運転手として日々荷物と格闘している。

編集部から
FtMとは、Female(女性)to Male(男性)の略称で、ひらたくいうと「身体的には女性に生まれついたけれど、自分は男性である、と思っている人」のことです。水商売で働くオナベさんも広い意味ではFtMに含まれるそうですが、オナベ=FtMというわけではありません。水商売以外で働くFtMもいっぱいいるし、なかには同僚にFtMと気がつかれていない人もいます。他の社会と同様、真面目に働くFtMもいれば、そうでないFtMもいるし、モテるFtMもいれば、非モテFtMもいるのです。この連載では、現在トラック運転手として働く琥太朗が、これまでいかにして女性を食いまくってきたのか赤裸々に告白していきます!