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俺の、最後の獄中絵日記 第202回

別にお願いしたくねーから!

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


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毎日の面倒からまたひとつ解放された!

2013年(平成25年)7月29日

朝、出役する際に工場に持ち込みたいものは、
個人別の持ち込み袋に入れてから舎房別にあるオカモチに入れて持って行く。
工場に着いて、不正が無いかオヤジが一度チェックするためだ。

どんな物を持ち込み袋の中に入れるかというと、
廃棄したい日用品や雑誌、新しく工場用に卸したいタオルや石けんなど。
そして訓練生の俺たちは舎房でも勉強するために、
教科書やノートを毎日このオカモチに入れて持ち帰っては
翌日またこのオカモチで工場に持ち込む。
この持ち出し袋、場所によっては"パスケース"なんて言うけれど、
このオカモチのシステムはどこの刑務所も一緒だよ。

まあこの事は良しとして、俺が面倒くさいのは
肝臓の薬として投薬を受けてる"ウピロン(ウルソ)"の奴だよ。
これが一日3回食後2錠ずつ服用として出ているので、昼は工場で飲む事になる。
面倒なので朝、晩3錠ずつ飲んで済ましてしまいたいところだが、
ここでは俺しか薬飲んでないのでそうもいかない。
月形のように昼の分をまとめてロッカーに置いとく事もさせないので、
毎晩翌日の昼に飲む分を持ち出し袋に忘れないよう入れとく必要がある。

これが面倒なのだ。
忘れるとまたグズグズ言われるからね。
そしてさらに面倒な事には、昼食が済むとすぐにコップに水を入れ担当台まで行き、
『817番ゴトーです。投薬お願いします。』なんて言って、目の前で飲まなくてはならない。
本当これが嫌なんだよ。

別にお願いしたくねーから。

できることなら一切オヤジとは接触したくないのだ。
苦手なんだよ。


そんな感じで毎日うざい思いをしていたら、なんと今日吉報が届いた。
先日の採血の結果、肝臓の数値は安定しているとのことで投薬しなくて良くなったんだ。
これで毎日のユーウツからひとまず解放された。
こんな小さな事ひとつで、俺の懲役生活にはすごい影響を与えてくれるのだから、
どれだけ刑務官が嫌いかわかるだろ?


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