>  >  > この暑さにやられて、誰も皆、気が立っているようだった
俺の、最後の獄中絵日記 第189回

この暑さにやられて、誰も皆、気が立っているようだった

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


enikki_tobira.jpg


だからって、俺に当たらないでくれよ!


2013年(平成25年)7月16日


やっぱり俺という人間は小さい男か?

今日は絶対に注意なんかされないで気分よく1日を終わらせようとスタートしたのだが、これまた撃沈。

朝イチから「サンダルを擦るな!」なんて言われて1日が始まっちまった。

本当に強敵なんだ、あの担当は。

それでも緊張しながらやっていた1日だったが、今日、外運動が終わりグラウンドにあるシャワーを浴びて工場に帰ってくるとオヤジが皆を並ばせて言った。

「黄色いタオルを持っているヤツ。○○のタオルで間違って身体拭いたのがおるやろ。間違ったのは仕方ないが、ちゃんと謝れ。こずるいことするな。わかったな。昼休みでも俺んとこに良いに来いッ!」

俺はまったく無関係だ。だが俺は黄緑色のタオルを使ってんだけど黄色にも見える。

そして懲役では変なことに巻き込まれるのが俺だ。

なにか変なトバッチリが来ないかと胸騒ぎもする。

そして間違えた本人は気づいているはずなのに、結局申し出てこなかったらしい。

今日の作業も終了になる頃、洗濯係がハンカチを集めに来ながら俺に「タオル間違えたのゴトーさんですよネ(笑)」と言って、去っていった。

やっぱりだよ!

10年前なら立ち上がりすぐさまブン殴るところだが、必死にこらえて考える。仮釈のためだ。

しかし腹の虫が収まるわけがない。

オヤジにちゃんと犯人を見つけ出せと言いに行こうか。

......それとも、やっぱりさっきの洗濯係のガキをシメに行こうか。

疑われてんのが気に入らないのだ。ちょっとヤバいモードに入っちまったぜ。


20150810.jpg