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俺の、最後の獄中絵日記 第182回

失神寸前な奴にえんえん説教すンのは人としてどうなの?

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


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早く医務に連れていきなよ

2013年(平成25年)7月9日

ここの体育館は狭い。そして暑い。

卓球台が8台置いてあるけど、それで目一杯。

周囲を走る事もできない。

卓球は新しいラケット並べて置いてあるけど、誰ひとりとしてやる奴はいない。

ほとんどが座って話をしてる。

卓球台の脇の比較的スペース会いてるところに若いのが数人、筋トレをガンガンやってる。

アゴもいかず※1に黙々とやってる。

よし! これこそ俺の望むところだ。

若いのに混じって俺も最年長として参加する。

すごいのもいるが、だらしないのもいる。

年齢の事を考慮しなくても、俺はやるほうだな。

時間いっぱいやって、本当フラフラになった。

2階にある体育館から工場に戻るために下に降りて整列していると、点呼の番号が途中で止まった。

さっき一緒に運動やってた若いのが声も出せずにうずくまっている。熱中症か?

無理しすぎたんだよ。

その点、俺はフラフラになってもこうなった事は一度も無い。

あらためて丈夫に産んでくれたお袋には感謝だ。

しかしその若い奴に対してクソ担当は「お前は運動しすぎなんだッ!」とかなんとか怒鳴り散らすだけ。

医務に連れていく気配もない。

ガクガクした足取りで仲間に支えてもらうも、「早く歩かんかこのォ!」

工場でも担当台の横に座らせ、真っ青なのをいい事に「皆に迷惑かけてんだこいつはッ! えッ! もっと自分にあった運動あるだろッ! お前明日からもう運動すんなッ!」と全員の前でえんえんとやってる。

聞いてるこっちがイラッとくるよ。

こいつぁ本当に性格の悪い男だぞ。


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※1 アゴいく......刑務所の隠語で「おしゃべりすること」。あまりいいニュアンスの言葉ではない。