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俺の、最後の獄中絵日記 第190回

1型にするか2型にするか、それが問題だ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


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よそを知らないということは幸せなことでもあるよネ


2013年(平成25年)7月17日

昨日のタオルの件なんだけど、実は犯人はすでに分かっていて、そのことを俺も知っていると思った上でのジョークだったらしい。

バカヤロウ。

まぎらわしい冗談言ってんじゃねェよ。ブン殴るところだったぞ、と言いつつ単純な俺は、疑われていたのではなかった事に気を良くし、平常心に戻る。

しかし今から思えば、昨日は危ないところだった。

小さいことに腹を立ててすべてを無駄にしてしまうところだった。ダメだな。

話は変わって今日はガリだ。

どこの刑務所にも散髪はあるが、ほかの刑務所のように同じ工場にいる誰か適当な素人にやってもらうのではなく、ここ佐賀小刑では理容工場から理容師を目指す訓練生が5人ほどやってきて5人ずつ散髪する。訓練刑務所ならではだ。

しかも接客も同時に勉強するらしく、首にエプロン巻きながら「苦しくないでしょうか?」なんて実にシャバっぽい感じ。

そのあとは「今日はどのように......」なんて聞いてくるから、「一番短いので」って言えば「はい1型ですネ」と来るわけだ。

このやりとりの意味、普通の人には分かんよネ。

1型っていうのは五厘刈り。2型ってのが五分刈り。もしかしたら戦時中あたりはこんな言い方してたのかもネ。

ただ、ほかの刑務所と違って、ここでは襟足を剃ったりしないし、鼻毛を切る小バサミも貸してくれない。

散髪後にシャンプーや石鹸も使わせてくれない。洗面器2杯の水で流すだけ。

さすが初犯刑務所だよ。これが当たり前だと思ってるから、誰もなんとも言わない。ここが再犯刑務所とは違うところだ。

まぁこの厳しさの中、あと4ヶ月半頑張れば、俺ももうひと皮むけるかもネ。


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