前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。
月形刑務所と佐賀刑務所との違いはココだ
2013年(平成25年)6月28日
タオルのかけ方、布団のたたみ方、水道の流しっ放し、3名以上の立ち上がり。
とくに厳しいのが布団のたたみ方で、アイロン掛けしたかのようにピシッと整えていないとギャンギャン言われる。
廊下側の窓には、はめ込み式の網戸があって必要以外は必ずはめとけって。
これ虫が多いってことだろう......参るな。
便所は和式で狭く、なんと便秘の薬を出してくれない。
これが俺の悩みの種であり、恐怖でもある。また一日中、クソの心配だ。
ところがユルいところもあるんだよ、驚いた。
朝、明るくなったらチャイムが鳴るまで床で読書してて良いのだ。
これなら北海道のように、朝が長くて苦しまなくて済む。
なんと布団の中で、寝そべったままの筆記も OK だって!
そして、これが俺の過去の懲役ではありえなかったのだが、平日夕方6時から自由なチャンネルでテレビが見られるのはもちろんのこと。土日祝日は朝からずっと布団を敷きっ放しのテレビもつけっ放し、こんな楽でいいのかって話だ。
せっかくCADの勉強に来たのに、こんなんじゃ大丈夫かって心配になる。
とはいえ、ウルサイところは月形刑務所の比じゃないよ。
とりあえず今のところは、この少年刑務所にやってきたことは失敗だったんじゃね?ってのが第一印象だ。