>  >  > うまく言えないけど、ここの刑務所も、やっぱり「懲役の匂い」がしたよ
俺の、最後の獄中絵日記 第171回

うまく言えないけど、ここの刑務所も、やっぱり「懲役の匂い」がしたよ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀刑務所へ移ることになってしまった。


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佐賀(SAGA)へ......

2013年(平成25年)6月25日

月形刑務所の門をくぐり、千歳空港までの1時間40分はただまっすぐの一般道。

360度、ずうっと向こうまで見渡せる平地だ。

ホットモットで弁当購入して、11時20分発の福岡空港行きに乗る。

羽田から千歳まで来るのに1時間30分かかったフライトが、なぜ千歳から福岡まで2時間で行けたのか、ちょっと疑問。

福岡空港に定刻通り着陸しタラップを降りると真下に待機していた迎えのバスに乗り、すぐに高速に入って1時間20分。

道は北海道と違って、うっそうと木々の生い茂る山の中を縫うように走っている。

高速を下車してしばらく走るとグッと町らしくなり、いつの間にか佐賀県に地名は変わっていた。

佐賀少年刑務所は民家の密集した住宅街にあった。

近所に子供も多いらしく、刑務所を囲う高さ5メートルの塀には《ボールを当てないで》なんて看板が目につく。

門には佐賀少年刑務所天山技能訓練所という2つの看板がかけられていた。

さあ今から、半年前に月形に来た時と同様、入所手続きのやり直しだ。

やっと慣れた月形とは「"休め"のやり方が違うッ!」とさっそく指摘されるところから始まった。

これまでのことはすべて忘れてやり直しということだ。

今日一日は独居に入り、明日から考査工場に出るらしい。

南国の佐賀刑は、すでに半ズボンとランニング仕様だった。

寒いくらいだった月形とは違って、なにもしていないのに汗ばんでくる。

舎房は刑務所特有の懲役の匂いがした。

どんな匂いか、なんてうまく説明できないけれども、妙に覚えのある嫌な匂いだよ。

そんな匂いをどこか懐かしく感じるほど、懲役生活が身体に染み込んでしまっている自分が悲しい。

ともあれ、この匂いの中で以前と同じ生活が始まる。

これが最後だ※1、そう誓ってバカになろう。


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※1 これが最後だ......最後じゃありませんでした