自分のレアな体験を生かして
──HEART-COMPANYは、ご自身の塀の中でのご経験とニーズをもとに始められたそうですね。

HEART-COMPANYホームページより。逮捕された場合どうなるかなど、様々なケースに対応した親切丁寧なつくり。
中野瑠美(以下 中野) はい。「塀の中」と一言で言っても、施設によっていろいろ違いますから、12年も務めて「刑務所ルール」がすっかり身に付いた私になら、お役に立てるかと思いました。
それに、もともと景気が悪いのに、前科前歴があったら就職はなおさら難しいですよね。だから、「よし! 自分で会社を作っちゃえ!」となりました。会社のスタッフは全員前科がありますけど、みんながんばってくれていますよ。
──どのような方にニーズがあるのですか?
中野 収容者のご家族や関係者で、差入ができない方ですね。特に、遠方の刑務所に収容されてしまうと、なかなか面会もできません。ご高齢の方はもちろんですが、面会は平日しかできませんので、お仕事で行けない方も多いですよね。

社内でお仕事中の中野さん。日々、かかってくる相談事にものって大忙し。
刑務所の面会はご親族やご友人など事前の登録が必要なので、当社ではできないのですが、衣類、本、お金、食料などの差入と、手紙の代筆などを代行しております。手数料は3000円からで、それに実費がかかります。
手紙は500字(A4判1枚)まで1000円で、1文字2円が目安です。刑務官に文面をチェックされますから、自殺や脱獄に関すること、「暴力団」の話題など「更生の妨げになる」と判断されるようなことが書いてあると、スミ塗りをされたり、返却されたりすることがあります。「こないだ、○○さんが出所したよ」とか書くのもダメですね。
一般の方はそういうことがわからないから、こちらで内容を吟味して心を込めて書かせていただいているのです。書くときには、絵柄のかわいい便箋と封筒、記念切手も喜ばれますね。
──ぶっちゃけ儲かります?(笑)
中野 ボチボチですね(笑)。現在のところはご依頼を月に50件ほどいただき、私の月収は30万円くらいです。もっともっと安心して気楽に依頼して頂けるように、今も勉強の日々です。