>  > 緊急スペシャルインタビュー ついに工藤明男が『絶歌』問題に決着をつける!!!
工藤明男コラム出張版 工藤明男が『絶歌』について語りおろした2時間【前編】

緊急スペシャルインタビュー ついに工藤明男が『絶歌』問題に決着をつける!!!

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僕たちはみな精神的な病理を抱えていたのだろうか?

──質問を変えますが、元少年Aは何らかの精神的な病理を抱えていたと思いますか?

工藤 思います。当時も「普通の少年が?」とか言われていましたが、先ほども言ったように不良、いわゆるヤンキーとかチーマーとか暴走族とかなんでも良いのですが、不良じゃないという意味では普通の少年なのかもしれませんけど、精神的には普通じゃないと思いました。『絶歌』を読んで、なおさらその思いを強くしました。

──精神医学者の診断では、元少年Aは脳の構造や機能の特徴というか、機能不全に由来すると言っていますがそういうことでしょうか?

kudoakio_hosino01.jpg心理学者の星野仁彦氏はこの著作の中で元少年Aのことを「発達障害と心的トラウマが絡み合っていた」と推測している。『機能不全家族』著/星野仁彦 刊行/アートビレッジ

工藤 専門的なことはわかりませんがそういうことだと思います。元少年Aには逮捕の後、精神鑑定が行われて、「行為障害」と「性障害(性的サディズム)」という診断名が与えられたようですから。

──関東連合や工藤さんの周りにはそういう人はいませんでしたか?

工藤 いましたね。危ない系とかイカれた系というか、僕の場合はそれを演じていたところもありますが、本当にオカシイ人は各世代や地域に一人ぐらいずついました。

──どういう風にオカシイのでしょうか? 周囲にそういう人間がいないので想像がつきません。具体的な例をあげていただけますか?

工藤 う〜ん。すぐ刺したり、不可解な行動をしたりとかですかね。

──工藤さんもそれを演じていたんですか?

工藤 いえ、それとは違います(笑)。僕は喧嘩の駆け引きみたいなもので何をやらかすかわからない奴を演じていただけで、本当は物事を冷静に考えていました。

──物事を冷静に考えながら喧嘩や事件を起こすって、それこそヤバいじゃないですか(笑)。

工藤 いや僕は僕の世代のリーダーだったんで、チームをまとめる上で冷静に考えたり、腹をくくってイケイケなところを見せないといけなかったっていう立場だったんで。

 あと、オカシイと言われる人はだいたいクスリ系をやっていましたね。

──クスリというとシャブとか大麻とかですか?

工藤 僕はやらないのでわかりませんが、そういうものだと思います。

──それは今回の元少年Aに通じるオカシさなんでしょうか?

工藤 元少年Aは不良少年じゃないのでそういうものを入手する伝が無かったと思いますが、彼が薬物に手を出したら、もそのすごくハマると思いますよ。

──それはなぜですか?

工藤 クスリをやる奴らって現実から逃げてたりするからそういうものをやるんだと思いますが、元少年Aも現実感が希薄な感じがするんでクスリをやってさらに現実とは違う世界に行きそうな感じがしますけどね。

──なるほど。話は変わりますが、工藤さんから見て彼(元少年A)は更生したと思いますか?

工藤 実物を見ていないので本や情報を見る限り更生というか一定の社会的な適応をするだけの治療はされたのかな?と感じます。

──どの辺からそう感じられるんですか?

工藤 まだ途中なんで読み終わるまで言い切るのは難しいのですが、『絶歌』を読んでいると彼(元少年A)の感情の希薄さみたいなものがものすごく漂っているんですね。と同時に「人の感情とはどういうものか?」ということを彼なりに必死に理解しようとしてきたことが伺えます。

 感情が希薄ということは、感情が無いわけではないので、彼なりに人の感情を紐解くための情緒のベースはあると思うんです。本の内容でも泣いたり笑ったり、少なくとも祖母や飼い犬とは情緒的な交流ができていたようですから。

 でも人間の感情っていうものはそもそも頭で理解しようとするものではなく、自然と感じるものだと思うので、理解しようとして一定の理解しかできない時点でやっぱりヤバいとは思うんですけどね。

──なるほど。では元少年Aの再犯の可能性はどうでしょう?

工藤 これも『絶歌』を読み終わるまでなんとも言い切れませんね。当面はないんじゃないですか? 環境もあるでしょうけど、ある程度の監視の目もあるだろうし......。

 感情が希薄な彼が、「(再犯は)しない」と言っているわけです。逆に言うと、「事件を起こすと自分にとって不利益になる」と頭で理解できるようになった、ということになります。それは以下の本人の文からも伺えます。
「どうしていけないのかは、わかりません。でも絶対に、絶対にしないでください。もしやったら、あなたが想像しているよりもずっと、あなた自身が苦しむことになるから、としか言えない」(『絶歌』から引用)