前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。
これってCADと関係あるわけ?
2013年(平成25年)7月4日
「安全唱和。月曜日!」
「安全衛生教育を熱心に、まじめに受け、指導された事は必ず守ること!」なーんていうのが月曜日から金曜日まで全17項目もあって、毎朝、代表が1人前に出て、曜日ごとに大声で言うのを全員で復唱している。
とりあえず外部から来た新入の俺たちは、この17項目を暗記することが最初の仕事──ということで、教室の机に向かってただただコピーされたものを手に、にらめっこの4日間。
最後に覚えたかどうかのテストがあり、オヤジの前に全員立たされて、ひとりずつランダムに「何曜日を言え!」と指示される。
このプレッシャーに、前の人は震えていたよ。
その点、俺は鈍感だからなんともないが、頭のほうが心配で、17項目も暗記をしろと言われた瞬間に「無理!」と思ったよ。
しかし人間、追い込まれたらなんでもできるもんだネ。ちゃんと覚えられたもの。
あとは本番で、プレッシャーから頭が真っ白にならないよう注意するだけ。
4日後に行われたテストではひとり飛んじまって、翌日、やり直しの再テストとなった。
良かった、今度は全員、無事クリアして、やっと先へ進めることになった。
それにしても1ヶ月後に国家試験があるというのに、こんなスロースタートで大丈夫なの?