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工藤明男コラム

医療少年院の矯正教育についての検証をどなたもされないようですが

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そもそも元少年Aは「意図的」に「嘘」を書いたのか?

 当初、元少年Aは鑑別所に初めて面会に来た母親にむかって「帰れ豚野郎」と言い放ったようである。確かに僕も少年院に収容されている時期に面会に来てくれた母親に「面会にはもう来ないでくれ」と言って、それ以来父の葬儀をのぞいて会っていない。

 神戸家裁でこの事件の審判をした元判事・井垣康弘氏も今は裁判官をやめて弁護士に転身したそうである。だからと言って元裁判官が少年法の理念を無視してここまでコメント公開しちゃうんだ?ってついでに思いましたが、まあそれはともかくとして、あんな事件を起こす子に親の問題がないわけないでしょ

 少年院というところは、「保護者及び教官による三者面談」とか「保護者参加行事」といった行事をひんぱんにおこない、保護者(母親や父親)と少年の結びつきを強化し、なおかつ保護者へ絶対的な肯定感を持つように矯正される場所。そこに原因のひとつがあると思うんだよな。

 大半は半年から1年で出院するところを7年以上(1997年10月から2005年1月まで)も関東医療少年院の中にいた元少年Aは、家族に関する記述だけ意図的に嘘をついたのではなく、長年の矯正教育により本気でそう思いこんでしまった可能性もあるんじゃないのかな?

 別の報道によれば、元少年Aには、精神科医3人と統括官1人による「育て直し」教育が施されたとも言われている。それは精神科医や統括官がそれぞれ父、母、兄などの"模擬家族"を演じ、 文字通り元少年Aを「赤ちゃんから育て直す」という徹底したものだったという(元少年A 仕事を始めても「酒鬼薔薇らしい」と噂立ち職を転々 NEWポストセブンより)

《母親を憎んだことなんて一度もなかった。母親は僕を本当に愛して、大事にしてくれた。僕の起こした事件と母親には何の因果関係もない》

《事件の最中、母親の顔がよぎったことなど一瞬たりともない》

 いや、本人が本気でそう思い込むような矯正教育に問題があるんだって。






(次回の掲載は6月23日午後12時です)




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