前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。
こんな日くらい楽しい気分にさせてくれ
2013年(平成25年)5月24日
刑が確定してから苦節7ヶ月、ついにこの日がやってきた!
1、2、3級者集会────今は1、2、3類者集会って言うんだっけ。
今月、3類に進類した俺は、これからはこの集会に参加できる。
集会はほかに1、2類者集会と1類者集会ってのもある。
2類者は毎月2回(2週間に一度)、1類者は毎月3回、この集会があるってことだ。
もちろん懲罰なんかに行ったら類は4~5と下がるから、この手の集会には参加できなくなる。
ところで現在、俺の舎房は全員3類になっているから、集会室には出ていかず、菓子も舎房に入ってくることになった。
いつもは教育ビデオを観せられる時間だが、今日は『SONGS』の録画ビデオを観て良い。
ちなみに今日の菓子は自腹の400円だが、中身はこうだ。
・オランジーナ
・じゃがりこ
・あんドーナッツ
............まあ初めての集会なので、ぜいたくは言えないか。
今日はありがたく(といっても自腹だが)、ありがたくいただくことにするよ。
なんてことをこの日記を書きながら集会の始まるのを待っていたら、見回りのオヤジが間違えて俺たちも集会室に行くことに。
「しゃべるな! 静かにしろ!」
と、ビデオを観ながら俺たちがやりとりしないよう、うるさく言ってくる。
それだけならまだいいが、顔つきがいかにも挑発してんだよナ。
囚人を看るのが仕事なのはわかる。でも普通に看てりゃあいいじゃないか。
頭に来んだよ。
いつもこんな調子なら、集会なんかいらねーよ。