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俺の、最後の獄中絵日記 第142回

真夜中の刑務所に響きわたる悲鳴のような大声

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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気を使ってるつもりだったのになあ

2013年(平成25年)5月25日

夜は洗面器2個に水を張って、流しに置いて寝る。

どうしてかわかる?

皆で寝ている舎房で、夜中にトイレに行ったあと、手を洗うのに水道を流すと起こしてしまうからだ。

本当はトイレのバケツにも水を溜めといて、用を足したあと水洗ボタンを押さないでバケツの水を静かに流す、というのが基本のよう
だが、今は暗黙の了解で『水洗ボタンは良い』ということになっているようだ。

これほど他人の迷惑を気にしながら生活しているのだから、当然、夜中のトイレは控えたいもの。

ところが俺は便秘に対抗するため、ポットの3リットルのお茶をガンガン飲むようにしている。

「水分を取れ」といった医者の言葉を信じて、ひたすら飲む。

だから夜中に何度も便所へ行くことになる。

深夜、誰も起こさぬよう、そっと布団から出て泥棒のような忍び足でトイレに向かう。

細心の注意を払ってドアを開き、中へ入って、そおっと閉じる。

そして、ゆっくり腰を下ろしたのだが、便座を下ろすのを忘れていて、ケツはすっぽり便器の中へ。

冷たいのとビックリしたのが相まって「痛ッ!!」と大声を出してしまった。

あちこちで布団がモゾモゾとしているのが見える。

たぶん起こしてしまったわけだよ。

ああ、俺の注意力のなさはもう治らないのか。

自分でも呆れた、昨夜未明の出来事だったのだ。

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