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俺の、最後の獄中絵日記 第137回

何千回も繰り返して体に染み付いた動き

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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昔の人が言うように、やっぱり基本が大事なんだな


2013年(平成25年)5月21日

ボクシング教室。

言われるままに地道に練習をしてきたが、やはりジャブは基本中の基本であることが少し分かってきた。

踏み込む足がかかとから入ってしまったり、バックステップで歩幅の縮まってしまったりする悪いクセも完全に良くなったとのこと。

するとどうだろう。簡単なパンチならちゃんと足が着いてくる。

それが次の動きにつながるのだ。

さらに縄跳びの成果なのか、とてもリズミカルにワン・ツーが出る。

ただ、このワン・ツーのストレートのときに体重を乗せようと焦るため、意識しすぎて体が流れる。

次の課題は、このへんだろうか。

まあ、しかし俺も単純なわけだよ。

いつか絶対プラスになるものと信じ、周囲の目も気にせず、コーチと2人で無理くり始めたこの2人きりのボクシング教室だったが、最初、練習する俺に投げかけられる言葉は
「シャバに出てからボクシングジムに行ったほうがいいよ」
「出てから誰かとケンカするの?」
「ジャブはこうだって」
なんてからかわれたけどサ。

今は
「スゲーさまになってきた」
「俺も教えてもらおうかナ」
「実は昔やってたんでしょ、ボクシング?」
なんて言われるようになったもんだから、もう調子に乗る乗る。

だって、これは本当にわずかだけど、何かが身についたって証拠だものね。

"継続は力なり"って言葉の意味が少しだけ分かった気がしたよ。

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