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俺の、最後の獄中絵日記 第129回

バーニングマンあらわる

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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コントかよ


2013年(平成25年)5月13日

2週間くらい前、オヤジから告知があった。

燃えやすいものには注意しろ、と。

俺のいる9工場のほかに5工場も金属工場で、同じく30人くらいの小さな工場だが、やっている作業は5工のほうが少々本格的なことをしているらしい。

その5工場で先日、溶接の作業中に飛んだ火の粉で作業服が燃えるという事故が発生、そのことで「一応、告知をしろ」とオヤジも上から言われたのだろう。

まあ何か起こると、こうして告知することで、事故が起きても「受刑者には常に注意と告知をし、指導してあるはずだ」という刑務所側の防衛策だ。

この工場ではほとんどの人がどこでも使っている緑色の工場着の上下をつなぎあわせた、間に合わせのようなツナギを着ているが、もちろんこれじゃ火には弱い。

古い人間数人は、なぜかシャバで使われている普通のツナギを着てるんだけど、全員の分は追いつかないのだろうネ。

仕方ないから、この緑色のツナギを二重に作り変えるなんてことになったらしく、サイズを聞いて回ったりしてたけど、そんななか、面白いようにやらかしてくれる奴がいるわけだよ。

告知があって、対策に入ったばかりだというのに、工場内には燃える男があらわれた

近くの人間皆であわてて火を消して事なきを得たが、火事の起きた家から逃げ出してきたようなありさまでオヤジも渋い顔だ。

このこともちゃんと上には報告するのかね。

それにしても笑い事じゃないけど笑ったなア、本人見たときは。


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