この事件が発覚して酒鬼薔薇元少年Aが逮捕された当時、僕は鑑別所の独居房の一室にいた。
ラジオから流れてくるニュースの内容と新聞記事を読んで驚愕すると同時に、酒鬼薔薇少年の心の闇に吸い寄せられるように連日事件の記事を貪るように読んだのを今でもよく覚えている。
僕は鑑別所の中で、これから受ける家庭裁判所の審判で10代の終わりと非行少年という時代を終えることを自覚していた。そして酒鬼薔薇少年の事件を知り、自分とは異質の新たな非行少年の時代の幕開けを感じた。
そして時代は少年非行の凶悪化の最盛期を迎えることになる。
やはりここから先は実際に『絶歌』を読んでから感想とともに伝えることにしよう。
読まないことには何も語れない。
(文=工藤明男)