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俺の、最後の獄中絵日記 第127回

きっとまた繰り返す

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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幼稚園の先生に同情するね


2013年(平成25年)5月11日

満期上がりの人が皆に挨拶していた。

今日で工場最後ということだ。

うれしそうだった。

俺にも必ずやってくるこの瞬間が待ち遠しい。

さて、この人もいったい何をシャバでしてきたのかと思えばシャブだ。

しかも、なんでも相当ヨレるらしい。

気がつくと上半身裸で刺青を出したまま近所の幼稚園を覗いていたところ職質を食らったという。

たぶん職質じゃねえよ、それ間違いなく通報されてんだよ。

近所の人が通報したのか幼稚園の先生たちが通報したのかは分からないけれど、そんなのがずうっと覗いてたらそりゃ怖いよ。

しかし、本人も怖くないのかね。

気がつくまで、何をしてたのか、本人でさえ記憶がないわけだろう?

気がついたら幼稚園覗いてた、くらいならまあ良くはないけど、まだ救いはある。

それがもし気づいたら包丁持ってて目の前に死体が転がってた、なんてことになってから一生の終わりだよ。

一度でもシャブで記憶飛ぶくらいヨレるようなことがあったら、俺なら怖くて二度とシャブなんかやる気にならないと思うんだけどなぁ。

俺、言ったよ。そういう体質なんだから、もう薬やめたほうがいいよ、って。

自分のこと、思いっきり棚の上に上げてね。

俺の言葉を聞いて、あいつは笑ってた。

あいつ、いつか必ず間違え起こすぜ

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