前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。
連休ならではのハッピー感がほしいんだ
2013年(平成25年)5月3日
やっと待ちに待ったゴールデンウィークに突入した。
休みよりも、仕事に出て作業していたほうがいいかナ──と感じる時もあるが、そりゃあ独居にいて淋しいとか、作業が面白く感じている時に限るよ。
今は広々とした雑居に何の問題もない仲間といて、工場の作業は相変わらずヤスリ片手に磨作業の一本槍じゃあやっぱり休みが待ち遠しいよ。
ゴールデンウィーク中の菓子と放送されるビデオは次のようなものだ。
本日3日『恋愛適齢期』(お徳用おいしいクッキー)
4日『連合艦隊司令長官山本五十六』(サッポロポテトBBQ味)
5日『バイオハザードⅣアフターライフ』(カールチーズ味)
6日の振替休日は入浴があるためビデオもなし。
振替の休日だから菓子もない。
どうだ、このスケジュールにシャバの人たちが心躍らせて待つという大型連休のハッピー感があるか?
ちくしょう!
このレンタルショップでも手に取らないだろう映画と、またしてもローカル丸出しのスナック菓子攻撃。
サッポロポテトやカールなんかに俺の幸せアドレナリンが湧き出るはずがないだろ!!と叫びたい。
ああ、しかし、ここが懲役の悲しいところだな。
きっとこのカールもサッポロポテトも、口にしたとたんに美味しいと感じるんだろうね。
今日の、何の味もしない赤ちゃん用のビスケットみたいなやつ......チェッ、美味しかったよ。