前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。
祝日祭?
2013年(平成25年)4月27日
ここでは、ひと月分のメニューがプリントで配られる。
まあそんな刑務所は他にもあるけれど、祝日に出る菓子まで記載してあるところはなかったな。
だから今まで"しゅくじっさい"っていう言葉は耳にしても、こうしてプリントで配られるまでそれが"祝日菜"と書くなんて、10年近くの間知らなかった。
菜(さい)の字は、祭日の祭(さい)と思っていた。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど、その貴重な祝日菜が"かっぱえびせん"だった時は刑務所中ブーイングだよ。
かっぱえびせんなんてシャバでも買わないもんよォ。
もっと CM でやってるような新しい菓子食わせろってんだよ。
ロングセラー商品は仕入れ値が安いのかね......なんて勘繰っちゃうね。
だいたい、えびせん食ったのって、この前のパイの実と同じく、拘置所までさかのぼるわけ。
つまり、パイの実同様、テンション下がる菓子なわけ。
とはいうものの、久々の菓子だ、美味しくいただかせてもらったよ。
悪しからず。