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俺の、最後の獄中絵日記 第101回

快適

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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快適


2013年(平成25年)4月13日


夜中に目が覚めても、明け方早くに目覚めても、この部屋は静かだよ。

7棟1階14房って雑居に居るわけだけど、7人部屋に4人で暮している。

頭のおかしな奴もいなければ、いびきのすごいのもおらず、歯ぎしりの音さえもない。

寒冷地の仕様なのか窓の外は幅1メートルほどの通路があり、そしてまた窓があるために防音も効いている。

いわゆる二重窓のようなものだ。

新入工場での面接の際に、「将来的には独居へ行くことを希望するか」と聞かれたので、何の迷いもなく、「お願いします」と答えた。

これまでの雑居生活で4ヶ月持ったことがない。

派閥を組むやつ、弱いものいじめするやつに意地汚いやつ、果ては毎晩クソ漏らすやつまで──と、まともな部屋にいたためしがない。

もしかして、どこでも上手く行かないのは俺のせいか、俺は団体生活もできないダメなやつなのか、と自己嫌悪に陥ることもしばしば......。

しかしながら、現在はゆっくり夜も休むことができる。

これは本当に助かった。

しかも、独居行きの順番待ちが3番目。

うまくいけば夏までには独居に行ける、というのもツイてる。

これまでは一刻も早く独居での生活を待ち望んだ俺だが、これほど北海道の環境が良いならどちらでもいいかな、なんて思う。

しかし、この先どんなメンバーに入れ替わるか分からので、やはり独居へは行ける時に行くべきだね。


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