>  > 6月1日スタート「自転車講習制度」は、近未来の警察"巨大違反金徴収システム"への布石だ!
今井亮一の「情報公開バカ一代」

6月1日スタート「自転車講習制度」は、近未来の警察"巨大違反金徴収システム"への布石だ!

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なぜ自転車違反の取締りが少なかったのか

 自転車の違反には「反則金」や「放置違反金」の制度が適用されない、すなわち迅速・勘弁にペナルティを徴収するシステムがない。
 自転車の違反で徴収する金は「罰金」だ。これでは刑罰であり、検察、裁判所の手を経て科される。刑罰なので前科となる。
 自転車の違反を取り締まると手間がかかるうえ、クルマ・バイクの違反と違って処罰すれば必ず前科となって不公平だ。
 
 ゆえに、自転車の違反はほぼすべて不起訴になっている。たまに、かなり悪質なケースで罰金が科されると、「当県では初めて」とか「極めて珍しい」とかニュースになる。
 
 でも、せっかく新制度をスタートさせるんだから、1万件は超えるかも? 頑張って10万件くらいやるかも?
 
 じつは、2014年の自転車の違反に対する、取締りではなく「指導警告」は、驚かないでほしい、なんと172万8060件もあるのだ。
 その指導警告を、取締りに切り替えればいいじゃん?
 いやいや、そりゃダメだ。170万件も取り締まったら、検察も裁判所もパンクしゅるっ!
 
 こう見てくると、不思議な気がしないか。
「違反した者」=取締りを受けた者、ではなく、「違反した者」=指導警告を受けた者にすればいいんである。
 指導警告だって、警察官から「指導警告票」なるものを交付されれば、自転車の違反もヤバイんだと気づく機会になるはず。そんな指導警告を度々受ける者は将来に交通の危険を生じさせるおそれがある、と言えるでしょ。
 取締りは指導警告より、やっぱ弱い? なら3年間に3回以上とするとか手はある。
 
 なのに、なぜわざわざ「違反した者」=取締りを受けた者、としたのか。
 講習制度がスタートして間もなく、警察庁はこう言い出すんだろうと俺は推測する。
 

近未来、自転車違反は巨大な徴収システムと化す

「自転車の悪質違反を厳しく取り締まり、適切に講習を実施し、自転車の事故は減った。しかし、自転車の違反のために検察、裁判所が悲鳴をあげている。また、同じ信号無視でも、クルマ・バイクは反則金で済み、自転車は裁判を経て罰金で前科になる。これは不公平との指摘もいただいている。そうしたことから、結果として多くが不起訴となっている。これは法秩序的に問題であり、現場で取締りを行う警察官の士気にも影響しかねない。そこで......」
 
 そこでどうするか。答えはズバリ、検察、裁判所の手を経ずに、警察官の違反現認だけでさくっと徴収する新しいペナルティ「自転車違反金」(法的性質は行政制裁金)の導入だろう。
 これにより、不起訴または指導警告で終わっていた自転車の違反から、さくっと金が徴収できる。現場の士気は高まり、取締りは爆発的に増えるだろう。巨大な市場が新たに誕生するのである。
 そのとき、自転車の取締りは民間委託される可能性が高い。駐車監視員ならぬ「自転車監視員」だ。
 
 今回の自転車講習制度は、新たな巨大市場の創設へ向けての、周到に準備された第一歩、俺はそう見るね。
 
 行政制裁金とはいったい何か、巨大市場のもっと先に何が待ち受けるのか、その話は長くなる。また今度。


(取材/文=今井亮一)


今井亮一 プロフィール
いまいりょういち●交通ジャーナリスト/マンガ原作者/作家。著書は『交通違反ウォーズ!』(小学館)、『なんでこれが交通違反なの!? 警察は教えない126の基礎知識』(草思社)、『裁判中毒 傍聴歴25年の驚愕秘録』(角川書店)など多数。
ブログ「今井亮一の交通違反バカ一代」http://ko-tu-ihan.cocolog-nifty.com/
メールマガジン「裁判傍聴バカ一代」http://www.mag2.com/m/0001035825.html