前回までのあらすじ
1992年春、新宿東口で謎の美女に逆ナンされたFtMの琥太朗は、女に誘われるまま大久保のホテル街へと足を向ける。あまりのラッキースケベっぷりに美人局を疑う琥太朗だったが、お姉さんの大人のキスでわずかな理性も決壊寸前!?
編集部から
FtMとは、Female(女性)to Male(男性)の略称で、ひらたくいうと「身体的には女性に生まれついたけれど、自分は男性である、と思っている人」のことです。水商売で働くオナベさんも広い意味ではFtMに含まれるそうですが、オナベ=FtMというわけではありません。水商売以外で働くFtMもいっぱいいるし、なかには同僚にFtMと気がつかれていない人もいます。他の社会と同様、真面目に働くFtMもいれば、そうでないFtMもいるし、モテるFtMもいれば、非モテFtMもいるのです。この連載では、現在トラック運転手として働く琥太朗が、これまでいかにして女性を食いまくってきたのか赤裸々に告白していきます!
オレの中のオトコが目覚めた!
お姉さんの身体は素晴らしかった。
自分で「高い」というだけあって、10代の乳臭い女にはないオトナの色香がプンプンしていた。
正直言えば最初のキスだけで、もう既に一度射精しそうになっていた(空想上の)。「脳みそがとける......」という感覚を、この時初めて体験したと思う。

お姉さんは、わざとゆっくり一枚ずつ服を脱いでいった。
オレはまるで金縛りにあったように身体中が動けなくなっていたが、目だけはすっかりお姉さんの身体に釘付けだった。ブラを外すと、大きなオッパイがポロンと飛び出した。そして、ついにお姉さんはショーツ一枚だけの姿になった。さらにショーツに指をかけ、イタズラそうな目でお姉さんはオレを見た。オレがマックスに興奮していたことを、たぶんお姉さんも分かっていたんだろう。オレを挑発するようにクスッと笑って、今度はオレの服を脱がしにかかった。
実は、その時までオレは、ただの一度も服を脱いでエッチをしたことがなかった。
女の身体を見られるのが嫌だったからだ。
だからお姉さんがオレのTシャツの裾を持ち上げた時には抵抗した。そんなオレをお姉さんはふんわりと抱きしめ、オレの耳にこうささやいてきた。
「キレイな身体なんだから恥ずかしがることないわよ。それにセックスは肌が触れ合った方が断然気持ちいいでしょ」
お姉さんはオレをベッドに押し倒し、耳たぶから首筋、鎖骨へと唇を這わせていった。
上でお姉さんが動くたび、長い髪と乳首がオレの身体の至るところに当たってゾクッとした。そして余裕な笑みを浮かべながら、オレの乳首の周りを爪先でなぞった。オレ自身も初めての快感に戸惑い、思わず身をよじって声を出してしまった。それでもお姉さんの手は止まることはなく、いよいよ乳房を揉みはじめた。身体の奥から湧き上がる、得体の知れない疼きがオレを襲う。
「ふふ...、身体はやっぱり女の子なのね、可愛い♡」
とうとうお姉さんの唇がオレの乳首に触れた。
身体に電流が流れたようにビクッと跳ねた。
その時、オレの中の何かが目覚めた。
このままお姉さんに責められ続けられるのもガラじゃないし、癪に障る。オレは力が抜けた身体に喝を入れ、お姉さんの身体をひっくり返し、上に乗った。
「お姉さんも感じてよ。」
オレもさっきのお姉さんと同じように首筋から唇を這わせ、脇からウエストライン、そして足先へと舌を動かしていった。
そう、焦りは禁物だ。いきなり核心を付くやり方だと、この手の女は快感が浅くなってしまう。ゆっくり時間をかけて焦らしつつ、少しづつ快感を押し上げていく。そうして皮膚の表面が熱くなっていき、しっとりと汗ばんできた頃、本人も我慢できずに身体をくねらせていく筈だ。
「ねぇ......お願い......触って」
著者近影(ただし5歳)
琥太朗(こたろう) エイプリルフール生まれ。おギャーッと生れてきたは良いが、母親の腹の中にチンコを忘れてきてしまった先天性FtM(性同一性障害者。女→男)。父親の強烈な女好き遺伝子をきっちりと受け継ぎ、10代後半からその才能を開花させる。現在はホルモン注射のみの治療だが何一つ不自由なくFtMとしてエンジョイライフを送りつつ、トラック運転手として日々荷物と格闘している。