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俺の、最後の獄中絵日記 第77回

防災月間?

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〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


防災月間?


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2013年(平成25年)3月13日

「今月は防災月間だから、事故、ケガ等はないよう心がけて作業するように!」との告知が、月初めにオヤジからあった。

しかし、今月に入ってから、炊場での台車による追突事故、雪かき作業中に落下してきた氷で内掃が骨折した等の報告がすでに3件報告されている。

そこで昼食が終わると毎日毎日、時間を取って、上から指示された文面を読んで事故防止の訓示をするようになった。

月間中の事故ゆえ、オヤジ連中も神経質にならざるを得ないのだろう。

そんな中のことだ。

今日の作業もようやく終了、という頃になって、作業を一緒にしている相方であり先輩のタケサンが棒ヤスリで手を切って血が止まらない。

こんな時だから、オヤジに言うか言わないか迷ってる様子だが、ケガに弱く血に弱い俺の意見はもちろん「オヤジに言ってください!」

防災月間だろうが、工場の無災害連続記録がかかっていようが、そんなの関係ないから。

早く治療を!

結局、その場でオヤジがカットバンをくれて、舎房に帰ってからも医務を連れて治療しに来てくれたと翌日聞き、

「うるさいけど、なかなかいいところもあるオヤジなんですね~」と言うと、
まわりからは「医務室に連れていったら記録が残っちゃうから、房のほうに連れていったんだろ? これ以上受刑者がケガしたという報告を上に上げたくないだけだよ」とのこと。

なるほど、納得。