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俺の、最後の獄中絵日記 第68回

懲役太郎あるある

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〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


懲役太郎あるある


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2013年(平成25年)3月4日

ここの点検は面倒だよ。

パンツ一枚になって台の上に乗ったら、まず手を上げて手のひらと甲を見せる。

手は上げたまま口を開いて舌の裏表を見せて、次に左右に首を曲げ耳の穴を見せる。

右足、左足の順に足の裏を見せたあと、パンツのゴムを引っ張り、何もはさんでないのを確認したら、最後に気をつけして自分の呼称番号「722番!」とはっきり言う。

オヤジが「良し!」と言ったら、台から降りて工場側のロッカーへ行く。
行くのだが......しかしだ。

両手にあまるほどの呼称番号をもらってきた俺は、朝、うっかりしていると、大きく、はっきり、そして自信満々に「567番!」とまったく違う番号を言ってしまったりする。

いけねェ。今はこの番号じゃねェんだった。
言ってしまってから気がつく。

オヤジだって、裸の人間ひとりひとりの番号を知ってるわけないのだから、そのまま知らん顔して通りすごせばいいのだが、そういう時に限って善良な小市民となってしまう俺は、慌てて「......407番」と言い直すがこれも違った。

全く関係ない番号を2つ言ったあとにやっと「あ、722番」。

オヤジは何も言わないが、呆れが顔に出てるね。
「何だ、この野郎は」って。

ボーッとしてるとダメだな。

常に緊張感持っていかないと。