〈前回までのあらすじ〉
小田原拘置支所にアカオチしたい武二郎に、横浜刑務所への移送の命令がくだる。これから14日間、この横浜刑務所で考査という名のさまざまな訓練やテストを受け、最終的にどこの刑務所に送られるか決定するのだ。はたして武二郎は再び小田原に帰ってこれるのか!?
クサい!
2012年(平成24年)11月☓日
どこの刑務所も同じようなものだが、ここ(=横浜刑務所)の建物は古いせいか特にひどい。
何がひどいって!? 便所の臭いだよ!
懲役だから、掃除はきちんとやるよ。
でも、ウンコをしている最中に放つ臭いは、どうしようもない。
皆、見つかれば連れて行かる(=懲罰房行き)のを覚悟の上で、シャンプーを持ち込んで、臭いを消して出てくるようにしているようだが、全く効き目なんてないよ!
6人も7人もいる舎房で、夕飯喰ったあとに全員がトイレに行けば、ほとんど寝るまで臭いが充満しているようなものだ。
この真冬に我慢して窓を開けたって、全く変わらず臭いよ。
なかには同じ物を喰ってんのに、なんでこんなにコイツのはクセェんだ!ってのがいる。
俺のように便秘で、4日も5日もクソしない奴ならいいが、こういうにのに限って毎日、快調にクソしやがって、うらやましいのと臭いのとで泣けてくるよ。
部屋の人間たちも、自分のクソの臭いを棚に上げて、何だコイツは!ってな事を言いはじめる。
懲役ではクソの臭いで人間性まで決められてしまう。
しかし、クソは我慢はできねェ。
今、俺は人間として最低最悪の生活をしていると実感。