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俺の、最後の獄中絵日記 第14回

寄せ場の馬鹿力

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〈前回までのあらすじ〉
小田原拘置支所にアカオチしたい武二郎に、横浜刑務所への移送の命令がくだる。これから14日間、この横浜刑務所で考査という名のさまざまな訓練やテストを受け、最終的にどこの刑務所に送られるか決定するのだ。はたして武二郎は再び小田原に帰ってこれるのか!?


寄せ場の馬鹿力


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2012年(平成24年)11月☓日

ここ(=横浜刑務所)でもやっぱり考査の期間中は朝から袋貼りの作業をやるんだけど、ここでは、「はい、すぐに作業」とはいかない。

"安全作業の遵守事項"なんて用紙を渡され、そのうちの17項目を全て暗記、できたら報知器を下ろして担当のオヤジを呼んで窓越しにテストだよ。

全て言えて合格したら、やっと作業に入れる。
できなけりゃ翌日、再テスト。

不合格になった日は作業はせず、一人小机を出して、用紙とにらめっこな一日。

暗記やり直しだ。

だめな人は毎日、この繰り返しとなる。

袋貼りの嫌いな俺でも、これじゃあさすがに作業のほうが良い。

なにしろ一項目一項目がやたら長いので、見た時点で俺はギブアップ。

(え、これ、皆、クリアしてるのかよ!)って本気で思った。

一発で合格したっていう人もいれば、三回目とかって人もいる。

なかには一ヶ月以上作業せず、用紙とにらめっこの日々を送ってる人も隣の部屋にはいるとか。

運動の時、話を聞くと、「覚える気ねーから」と言っていたけれど、強気に言えば言うほど悲しいネ。

正直に「覚えられねーから」と言ったほうがまだ男らしい。

こいつはもう、部屋でどんなに偉そうな話をしようが、「ふーん......そうなの......」って扱いを受けてしまう事にも気付いてないんだろうネ。

俺は、こうはなりたくねェ。

きっちり暗記しないと、こいつと同じになっちまうぞ!そう思って挑んだら、テストは一回でパスしたよ。

人間、追い詰められたら、たいていの事はできるね。